笑撃・これでもか物語 in 歯医者
「親からもらった二つとない大事な歯、それを火花が飛ぶほど研磨して、その摩擦熱一杯の歯に水ぶっかけたら、歯が割れてしまうだろうが。だいたい水をかけながら研磨するのが常識だよ! 同時進行でないと駄目なんだよ!」
ドクトルは高見沢のそんな怒りに気付いたのか、モゴモゴと一応反応する。だが結局は、「ノ−・プロブレマ」(問題なし)の一点張りなのだ。
やっと研磨が終わり、今度はクラウンを被せる段に入った。しかしドクトルは、高見沢が手渡した金のクラウン、それではうまく装着できないと言い出す。
「一週間でクラウンを調整しておくから、……、待ってくれ」
ドクトルから要望があった。
「まあ、ドクトルが言うのであれば仕方がないか」
高見沢はその日の治療をそこまでとして帰った。
作品名:笑撃・これでもか物語 in 歯医者 作家名:鮎風 遊