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笑撃・これでもか物語 in 歯医者

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 マ−クは最後の手段として、カーテンの向こうからカチカチとペンチのような物を嬉しそうに持ち出してきたのだ。
「おいおいおい、マ−クよ、ちょっと冷静になれよ!」
 高見沢はそう説得したかった。しかしだ、口の痺れで喋れない。 

 その上にだ、高見沢が突然に逃亡をはからないように、一〇〇キロはあるかと思われる歯科助手、そう、でっかいオバチャンが体重ごと高見沢に寄りかかってきた。いや、明らかに押さえ込みに懸かってきたのだ。

 それにしても不思議だ。なぜかオバチャンの目が異様にギラギラと輝いている。それはまるで高見沢に対し活殺自在(かっさつじざい)の権利を得たかのようにだ。
 そしてオバチャンはそれに酔ってしまっているかのように、満足そうにニタリと微笑む。これこそ不気味としか言いようがない。

 さらに不幸なことが。悪臭としか表現のしようがない香水の匂いが……、ぷ〜んと鼻っ面に。高見沢は「ウエッ」と思わずえづく。もう鼻で息ができず、ウガウガと酸欠状態で失神一歩手前。
 こんな状態で押さえ込まれ、もう身動き一つできない。これこそまさに生き地獄。目には涙が溢れてくる。