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ef (エフ)
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夢の途中3 (86-120)

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「いや、もう京都には誰も。両親も20年以上前に亡くなってしまったからね。三つ下に妹が居るんだけど、それも滋賀県の大津に嫁に行ったから両親が亡くなって暫くして、全て処分してしまったよ・・・
僕がこんな仕事をしていて、中々面倒を見れないもので・・」
『まあ、そうでしたの・・・・あ、林さん、お飲みモノ、ビールが良い?それともワインかウイスキー?ウチは喫茶店だからそんなに種類は無いけど一通りは♪(^^♪』
「あ、スミマセン♪(^^♪じゃあ、ビールを^^;・・」
香織は厨房の奥の冷蔵庫から瓶ビールを取り出すと、同じく冷やして在った脚長のビールグラスを2つ、そしてつまみのカットチーズを皿に盛ってテーブルに置いた。
『じゃあ、メインディッシュが仕上がるまで取りあえず乾杯と行きますか?
うふふふ♪(#^.^#)』
香織に促されて優一はグラスを手にした。
香織の酌でグラスに黄金色の液体が芳醇な香りを放ちながら満ちて行った。
「それじゃ、ママも♪(^。^)y」
香織がテーブルに置いたビールを今度は優一が手にして、両手で捧げ持つ香織のグラスに注いだ。
『それじゃ、林さんの【藤野での最初の夜】に、かんぱ~~い♪(^_-)-☆』
「ありがとう♪(^.^)/ 実は、今夜も一人寂しく夕食を取るもんだと半ば諦めていただよ。思いがけずママのご厚意に・・じゃあ、遠慮なく、かんぱ~~い♪ヽ(^。^)ノ」
『うふふ♪美味しい♪(#^.^#)私、お酒は全然弱いんだけど、喉の渇いた時のこのひと口は最高ね♪(#^.^#)
林さん、ゆっくり呑んでね♪』
そう云うと、香織は立ち上がり、再びカウンターの中に入った。
手早くフライパンを熱すると、角切りのバターをたっぷり入れた。
ジュ~~~っ♪
フライパンの中でバターが溶けて、良い音と良い匂いを運んで来た♪


大ぶりの鮭の切り身はひとつ200g以上は在った。
銀色の皮目とサーモンピンクの美しい身肉をしていた。
恐らく丸々なら10㎏は在っただろうオスの鮭の半身をひと月前から冷凍保存していた。
まだ、鮭が北海道の川に遡上してくるにはまだ間が在ったが、これは沿岸漁業の網に時々掛る鮭を店の常連である漁業関係者から貰い受けたものだ。
時期的には珍しいモノではあったが、売買するには数が纏まらず、結局一部の料理屋が引き取るか、仲買人が『自分食い』の為に安値で引き取るしかなかった。
独り者の香織にとって、この『大物』は自家消費するには大きすぎるモノだったが、何れヒマな時間に『塩鮭の解し身』でもするか、鮭の身のクリームシチューでも作って常連客に振舞うつもりでいたのだ。
海産物・乳製品・農産物が豊富なこの地ではこのような貰い物は頻繁にあった。
貰い物を店で金を取って出す訳にも行かず、結局は香織の手間暇を掛け、形を変えて常連たちに還元するのが彼女の常だった。
だからこそ、常連客も「また、持って行こう」と云う事になるのだが・・

その切り身に塩・胡椒を振り、小麦粉をまぶした後、余分な粉をはたいて、溶かしバターの中にそっと入れた。
ジュ~~~っ♪
切り身は溶かしバターの中で小刻みに震えている♪
香ばしい香りを放ちながら♪
「良い匂いだねぇ~♪それに音も良い♪!(^^)!」
『お腹すいたでしょ?もうチョット待っててね♪(^_-)-☆』
優一は良い香りと音をつまみにビールで喉を潤していた。
いや、それ以上に自分の為に料理する香織の姿を見ていたのだ・・
離婚前も含め、ロクに家庭で食事をする事の無かった優一は、甲斐甲斐しく調理する香織を新鮮な目で追っていた・・

「あ、ママ、処でここのお花畑はもうそろそろかな?」
『ああ、実は私、今日お昼間、ここの常連さんが経営している花畑を少し覗いて来たの♪(^_-)-☆
全体にはまだ5分咲き位だけど、早生のラベンダーはもう満開で、とっても綺麗で、良い香りがしてたわよ♪(^^♪ 
林さんも、こっちにいる間、是非観ないとね♪』
「ああ、僕もそう思ってね、楽しみにしてるんだ♪(^。^)y-.。o○
ママは・・・・ラベンダーの花が好きで、この店の名前にしたの?」
『ああ・・・・うん、それもあるけど(・_・;)・・・・・とっても想い出深い花なの、私にとって・・・
はァ~~い、出来たわよ~♪鮭のムニエル、かんせ~~い♪(^_-)-☆』
香織はそう言って、火からフライパンを離すと、あらかじめ付け合わせとして飾ったブロッコリー・フライポテトの乗った皿に出来たてのサーモンを載せた。
更にその上にバターの角切りを載せ、醤油を少し垂らした。
『はァ~い、おまちどうさまァ~♪(^_-)-☆我ながら今夜の出来は最高ね♪(^_-)-☆ さあ林さん、戴きましょう♪!(^^)!』
「ああ、おいしそうだ♪!(^^)!いや、美味しいに決まってるね♪
こんな美人のママが作ったんだから♪(^_-)-☆ 」
『(*^。^*)まあ、林さんたら♪これ以上褒めたって何にも出ないわよ?うふふ♪(#^.^#)さあ、召し上がって♪』

優一はビールの酔いも手伝ってか、何時になく饒舌になっていた♪


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章タイトル: 第15章小さな恋のメロディー2008年夏


 『林さんはお仕事で色んな処に行かれたんでしょ?』

優一と香織は食事を終え、彼女の入れたコーヒーを飲みながら歓談していた。
店の中には何時もと同じ、有線のスピーカーから洋楽のポップスが流れている。

カーペンターズ、ビートルズ、ビリージョエル、ギルバート・オサリバン・アバ・・・
二人の会話を邪魔しない程度の良いBGMになっている・・

 「そうだね、色んな処に行ったね・・・僕は社内ではどの役員にも嫌われた【一匹オオカミ】だったから、辺鄙なところが多くてね(^。^)y-.。o○でも、逆に良かったよ♪うるさい人は滅多に来なかったし、その土地の風俗やら結構面白い処も多かったから・・・・
アレ?この曲・・・・・」

優一は話の途中で、スピーカーから流れて来た音楽に気を取られた・・・

それはビージーズの『メロディーフェア』だった・・・

「ママ、この曲知ってる?」
『この曲は確か・・・ビージーズの・・・』
「そう、ビージーズの【メロディーフェア】だよ♪懐かしいなぁ~♪(#^.^#)」
『アラアラ、林さん、ニヤケちゃって♪ 余程良い思い出があるのね?』
「ああ、その通り♪(^_-)-☆ ほら、【小さな恋のメロディー】って映画、知らない?子役のマークレスターとトレーシーハイドが出ていた映画♪(^。^)y-.。o○」
『ああそう云えばそんな映画も在ったわね♪(*^_^*)その映画を誰かと観に行ったとか?』
「そう、その通り♪(*^_^*)僕が初めて女の子と観に行った映画だよ♪高1の時だったな♪(#^.^#) 」
『まあ、聞きたいわ、林さんの初恋の人の話♪(#^.^#)』

 「いや、別にその子が初恋だった訳じゃないけどね(#^.^#)・・・
僕の高校は地元の公立高校だったから、僕らの中学を含めて周辺の10近い中学の子が通ってたんだよ。