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夢の途中2 (49ー86)

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コンサートの帰り道、誰ともなくバンドの名前を【カミカゼ】にしようと言った。

余り、深い考えはなかった・・(+_+)・・・




昭次が死んだ時優一は、一緒に海に行った田川友宏を恨んだ。
(どうせ『酒好き』の田川と山木や、酒の入った状態で、無茶して海に入ったんやろ・・それでなったら、 背の立つ浅い場所で溺れる筈がない(ーー゛)・・
僕が一緒やったら、絶対に死なせへんかったのに・・)
その日の夜遅く、黒塗りの寝台車に乗って、昭次は帰って来た・・
昭次の訃報を聞き、彼の自宅で迎えた同級生は20人を超えていた・・
勿論、大林や有田もいた。
昭次と一緒に海に行った田川も、先に帰って待っていた。
優一はその時のことを殆ど覚えていない・・
20人以上いた友人たちとも、会話した記憶がない・・
悲しかったか?
泣いたか?
それも記憶がなかった・・
瞬く間に通夜・告別式を終えた。

昭次は呆気なく、
斎場の煙となって
天に昇って行った・・
まだ19歳だった。



 学園祭が終わり2週間経った半ドンの土曜日、瑛子は女子寮の食堂で昼食を摂っていた。
その瑛子に、あとから入って来た泰子が走り寄る。
「あ!瑛子ちゃん、良かった~♪(*^^)vあんな、頼まれてくれへん?今日2時に、林君と会うことになってんねんけど、瑛子ちゃん、代わりに行ってくれへん?
コンサートのチケット、もう20枚預かることにしたんよ♪そやけど、ウチ、今日リッちゃん(立命館大学)の彼とデートやったん忘れててん^^;・・代わりに行って~~♪(^_-)-☆」

泰子は早口で一気にまくし立てた。
瑛子にも3時から同志社大学へ行く予定がある・・
趣味で以前から興味があったダンスサークルに入会していたのだ。
そして土曜日はそのレッスン日・・
しかし、『チケット、受け取るだけやし♪(^_-)-☆』と
泰子に強引に頼まれ、承諾する他なかった。
それに・・・2週間ぶりに優一と逢えることも、瑛子を承諾させた理由の一つかも知れない・・
 (30分位やったら何とか間に合うし♪(*^。^*))
瑛子はそのままレッスンに行けるように、ダンスシューズのバッグと、レッスン用で少し派手目な赤紫のワンピースを身につけ、以前優一達と打ち合わせをした

近所の喫茶店【忘れな草】で2時前に着き、優一の到着を待った。



 丁度2時に、【忘れな草】の前に、白いセダンが停まった。
その暫く後に、店の木の扉が開き、カウベルが鳴る♪濃紺のウインドブレーカーを着た優一が、店内を見回した♪
そして・・・瑛子と優一の視線が出逢った♪(^_-)-☆
「あ!藤さん♪(*^^) 」
優一の視線の先で、瑛子が立ちあがった♪ (*^。^*)   (#^.^#)
『すみません、大井さんこれなくて・・・私が代わりに・・^^;・・・』
「ああ、とんでもない!わざわざありがとう♪(*^^)」
瑛子と向かい合う席に座りながら優一が応えた。
『コンサートの準備、大変やね。私もよせてもらうのよ♪』
「ホンマに?嬉しいなぁ♪(*^^) 」
『お友達の追悼コンサートなんやてね・・・』
「うん、そうなんや・・・バンドの元メンバーで山木言うねんけど・・」
優一はその経緯を瑛子に説明した。
瑛子は優一の長い話を、時折頷きながら、優一の目を
じっと見つめて聞いた。

「でも、山木の付き合いの広いのには、今更ながら驚いたわ^^;・・僕らバンドのメンバーが一番の親友やと思ってたけど、アイツ、男も女も関係なしに深いつながり持ってたんや・・
ホンマはな、僕、山木と一緒に海に行った田川のこと、
恨んでたんや・・・・あんな奴と付き合うからこうなったんやて・・
でもな、最近考えが変わった。
アイツにとって、田川もかけがえのない仲間の一人やったんやて・・

だから、結果はこうなったけど、それもみんな、アイツ自身が選んだ人生やったんやって・・
田川は・・・・・・悪ないって・・(>_<)・・          」

  優一は俯いて、声を絞り出した。


「あ、ごめん^^;・・湿っぽい話になってしもたな(^^) 」
瑛子も俯いていた。その目じりも濡れている・・
『うううん、すごい良いお話♪(*^。^*)男の人の友情って素敵やね♪(^_-)
そんなお友達に囲まれてた山木君て幸せやと思う♪
あ!(@_@;)もうこんな時間!林君、私もう行かな・・』
「え?藤さん、何処まで行くの?僕、車やから送るよ♪」
優一はテーブルの伝票をワシ掴むと、もう立ちあがり出口に向かって歩きはじめた。
『え~、でも、そんなん悪いし・・(・_・;)・・』
瑛子も立ち上がったが、少し戸惑った。
「エエよ、瑛子ちゃん、はよ行こ♪(^_-)-☆」
優一は早くも出口の扉を半分開き、身体半分外に出ていた。
『あ、はい♪(#^.^#)』
瑛子は置いてけぼりにされないよう、慌てて荷物を手に外に出た。
優一は白いセダンに乗り込みエンジンを掛ける。
中から瑛子に助手席を指で示し乗るように促した。

『失礼しま~す♪(*^。^*)  この車、林君の?』
「いや、オヤジのんや。今日は組合の旅行でおれへんから(*^^)・・で、何処行ったらエエの?」
『あ、同志社大学までお願いできます?』
「ああ、そんな近いとこかいな♪(^_-) 」
優一はバックで駐車場を出る。
瑛子の座る助手席の背に手をやりながら後ろを見る。
瑛子の顔の間近に優一の横顔があった♪

瑛子はドキッとした♪  (#^.^#)



 車は西大路通りを北上し、北野白梅町を東に折れて、
北野天満宮の前を通り、上七軒から今出川通りに入る。
優一の縄張り?、堀川今出川を過ぎ、目的地同志社大学前の烏丸今出川に着いた。
車の中で、瑛子の趣味が【社交ダンス】であることや、
大阪に実家があること、母親が現役の看護婦であること、
互いに三歳下に妹がいること、もう一年半も京都に居るのに、ロクに観光したことがないこと、優一の雑種の愛犬の名前が【コロ】であると言うこと等、他愛もないことで盛り上がった♪
瑛子は、もう『遅刻』は確定していたので、どうせなら、車が目的地に着くのが少しでも遅れたら良いと願った♪
もう少し優一と話をしていたかったからだ♪
その想いは優一も同じだった♪
瑛子は優一の横でコロコロと笑い、お腹を捩った♪
優一はそんな瑛子を愛おしく感じた♪
けれど、そんな時に限って都大路は、大した渋滞もなく、スムーズに走れ、15分ほどで同志社に到着した・・

『林君、ありがとう♪助かりました(#^.^#)』
「うううん、僕の方こそ♪  瑛子ちゃんとこんなに話せて
楽しかったわ♪(*^^)v(今度、ゆっくり話したいなぁ♪・・・・(#^.^#))」

        「あのォ~、今度、(^v^)・・」
  優一が助手席の窓越しに言おうとした時、
    『そしたら林君、ありがとう♪(^_-)』
    「あ!瑛子ちゃん!(・_・;)・・・・・」
 
優一の声は瑛子には届かず、大学前の横断歩道を走って渡った瑛子の背中は瞬く間に小さくなって
      消えた・・・



優一は瑛子を送り届けた後、自宅近くの駐車場に車を停めた。
作品名:夢の途中2 (49ー86) 作家名:ef (エフ)