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夢の途中2 (49ー86)

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写真も少し見せて貰いました。
林さんが天ケ瀬ダムの畔でピースサインで微笑んでいる写真でした。
姉の言う通り優しいそうな人だと私も思いました。
私達は女姉妹だけだから、林さんのようなお兄さんが居たら良いのになァ、と思いました。
姉が亡くなった後、京都の女子寮に姉の遺品を取りに行きました。
その時、大学ノートに書いた日記を見つけました。
几帳面な姉でしたので、短大に入ってからの2年半、ずっと毎日欠かさず日記をつけていたようです。
林さんの事も書いてありました。
と云うか、ここ一年間は林さんの事しか書いてないと言って良い位です。
これはやはり、林さんに持っていて貰うのが一番良いだろうと思います。
その方が、姉もきっと喜ぶと思います。
母も父もこの日記の事は知りません。
それで良いと私は思います。
それと、生前姉が良く使っていた、刺繍入りのハンカチもありましたので、姉の遺品として同封します。
何時までもコレを姉だと思って大切にして下さい。

                    春子  

追伸 姉と林さんが写っている写真は御棺の中に入れました。姉もずっと林さんの事を想い続ける事と思います。』

底の浅い厚紙の箱に、春子の書いた手紙と大学ノート5冊分の日記、それに優一に見覚えのある『仙頭(すわとう)』のハンカチが同封してあった。
それは、白い木綿地の四隅に青や紫の刺しゅう糸で【紫陽花・桔梗・藤・睡蓮】の花々が描かれた、瑛子お気に入りのハンカチだった。
優一が瑛子と初めて二人っきりの時間を持てた時、瑛子が優一の車の中に忘れていったハンカチだ・・
このハンカチもまた、優一と瑛子をこの後結びつけた
想いで深い品であったのだ・・






優一は大学ノートの日記を開いた。
見なれた瑛子の文字・・・
几帳面で少し角ばった文字だった。
日記は短大に入学した昭和49年4月10日から始まっている。

「昭和49年4月10日
今日から私は此処【京みやこ看護短大・都寮】で、新しい人生の第一歩を踏み出したのだ!
初めて親元を離れ、寂しくないかと云えばウソになるけど、良いにせよ悪いにせよ、これから起こる事がどんな事なのか今からワクワクして堪らない!」

力強い文字で書かれた短い文章は、これから我身に訪れる様々な事に、若者らしく前向きに向かって行こうとする心意気がうかがえた。

「昭和49年4月15日
今日は寮で同室の大井泰子さんと沢山喋った。
大井さんも母親が看護婦で、母親に薦められて同じ道を選んだそうだ。自分と同じなので驚いた。
大井さんは元々京都市内の府立高校の出身なのだが、
実家は滋賀県に引っ越したそうだ。
ここは『全寮制』だから、自宅の遠近とは関係なしに入寮しなければならない。
大井さんは寮の門限が早すぎるとこぼしていた。」

「昭和49年5月15日
今夜も大井さんの帰りが遅い。
もう、門限を30分も過ぎている・・・今夜は府立医大の彼氏とデートらしいが、昨日は立命館の彼氏と・・・
寮の裏口のカンヌキを開けておいてと頼まれたが、二日連続とは・・・・・」

大井泰子は入寮以来、瑛子と親友になる。
その後、優一と瑛子を引き合わせる【キューピット】になるのだが・・・・・

中々【発展家】のキューピットのようで?『毎週違った彼氏』とのデートに忙しかったようである^^;・・・


「昭和50年10月22日
今日は31日の学園祭に出演してくれるロックバンド
【カミカゼ】のメンバー5人と顔合わせした。
バンド名から想像して、さぞやイカツイ人達なんだろうと思っていたら、・・・・・・・普通の大学生だった。
中心メンバーの3人は大井さんの高校時代の同級生だ。
大井さんに『ギャラは?』と尋ねたら、『王将の餃子』で良いと言われた・・・」

この日、優一と瑛子は初めて出会った。
泰子の要請で、優一達のバンドが、京みやこ看護短大の学園祭【都祭(みやこさい)】に出演するため、最終の打ち合わせで実行委員である泰子や瑛子に会ったのだ。


 学園祭1週間前の土曜日、優一達5人のメンバーは最終
打ち合わせのため、短大を訪れていた。
短大側からは実行委員の泰子と瑛子が対応した。
「いらっしゃ~い♪(*^^)v  いやァ~~、大林君に有田君、
久しぶり~~♪(*^。^*)」
泰子は久しぶりに会う同級生・大林武と有田俊夫に嬌声を
上げた。
早速、学園祭のステージになる講堂を見た。
そこは『すり鉢状』の大教室だった。
優一達のステージは『すり鉢の底』と云うことになる。
収容数は500名
入学式や卒業式、それに看護学校恒例の【戴帽式】もここで行う。
問題は無かった。
ここではじめて7人は自己紹介し合った。
泰子は一歩前にでた。
「私は実行委員長の大井泰子です♪林君・大林君・有田君と
は高校の同窓生で、今回も無理を聞いて貰いました。
宜しくお願いします(^_-)-☆
それとこちらは同じく実行委員の藤瑛子ちゃん♪
可愛いやろ?(*^^)v」
「(#^.^#) 藤です。宜しくお願いします。m(__)m」
瑛子は丁寧にお辞儀した。
「あ~、僕がリーダーの林です。ベースやってます。
こいつが大林、ドラムです。
それとこいつがギターの有田で僕ら三人が同じ京南高校の
同級生。
それで彼がギターの東野とボーカルの李(り)です。 
有田以外は全員上賀茂産業大学の2回です。     」
メンバーを紹介し終えて、優一は瑛子を見た。
メンバーの一人一人に会釈し終えて、瑛子の視線は
優一に戻った。
(♪南沙織に似てるな♪(#^.^#)・・)優一は瑛子を見て思った・
細身で、浅黒く日焼けした健康そうな肌をしている。
黒目がちの瞳が、キラリっと光った♪


 優一達は自己紹介の後、短大近くの【喫茶店・忘れな草で】打ち合わせをした。
優一はそこで当日の演奏曲やイメージを二人に説明した。
その後で、瑛子が恐る恐る口を開いた。
「あのォ、うちの学生の場合、あまりハードなロックより、邦楽の方が良いと思うんですよね^_^;・・陽水や拓郎の曲を、もっと増やすって・・・出来ますか?^^;・・・」
瑛子は優一を下から見上げる様に見つめて言った。
「え?・・今から?・・・1,2曲やったら・・・出来んこと・・ないけど・・・^^;・・」
優一は少し困惑した顔で言った。
(だって、今更・・(>_<)・・ビートルズは有田が外せん言うやろし、東野も『クラプトン命(--〆)』やし・・・李(リ)はあのしゃがれ声じゃ、ブルースしか似合わんぜ
(;一_一)・・・困ったな(ーー゛)・・   )
「あのォ・・皆、どう思う?^^;・・・」
優一は恐る恐るメンバーを見まわした・・

「♪ええのんとちゃう?ルンルン♪(#^.^#)♪僕、フォーク、好きやし♪」李
「♪そやそや♪(#^.^#)瑛子ちゃん、『なごり雪』なんか好き?ルンルン♪」大林
「あ、僕拓郎やったら何でもイケルでぇ♪(#^.^#)ルンルン♪」東野
「いっそ、フォーク特集にしよか?(#^.^#)ルンルン♪」有田

「・・・・・・(・_・;)・・・・・・」優一
メンバーは、可愛い二人の女の子を前に
作品名:夢の途中2 (49ー86) 作家名:ef (エフ)