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庭自慢とビスマルク

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 顔を下ろせば、少女たちは恥ずかしそうにお互いの眼を見合わせている。顔かたちは全然似ていないにも関わらず、身を寄せ合っている二人はまるで姉妹のようだった。意味もなくクスクスと笑い、お互いの腕に手を回す。そうやって彼女たちを眺める自分の眼など潰れてしまえばいいと、グリアはしみじみ思った。10年ほど前までは、自らも同じように近所の少女たちとはしゃいでいたのだ。
 流行の睫毛ばかりを長く伸ばす化粧の仕方を余りにも見知ったように感じるのは、しょっちゅう訪れてくる少女たちが一様に、そのぱたぱたと上下させる付け睫毛の間から、輝くばかりの希望を投げつけてくるからだった。それは暴力に近かった。受け止めるたび、体の節々が痛み、胸を締め付けるような動悸を感じた。
「駄目よ、学校を休んだら」
 小言を言うお節介具合は、目の前で項垂れる大人しさとちょうど反対の位置にある。ごめんなさい、などといじらしい言葉に胸は痛むが、それがどういう感情によるものかは、いちいち取り出して考えることなど、とうの昔に諦めてしまっている。
「また休日においでなさい。そのときはいると思うわ」
 寄りかかるようにして触れた柵は胸にすら届かないほどの高さだったが、外を遮るには何とか役立ってくれる。ついた嘘に近い言葉もごまかせる。
 会話は終わらせたはずなのに、少女たちはまだもじもじと身を揺すり、立ち去ろうとしなかった。差していた陽は話をしている間に少し翳ってきていたので、背中に滲んだ汗は乾き、むっとするような湿度に取って代わられる。そろそろグレゴリオは立ち上がっているだろうか。もし動き始めていたとしても、彼の身繕いは女である自分よりも遥かに長いから、まだ大丈夫だとは思う。きっと今頃、クローゼットにずらりと掛けられたスーツの前で難しい顔をしているだろう。