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ef (エフ)
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夢の途中1(1-49)

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『(・_・;)え?・・・・・二か月?・・・・凄い、豪華やな?・・・
ホテルとかちゃんと泊まるの?』
「(^。^)y-.。o○いや、全然豪華とちゃうでぇ♪貧乏旅や♪泊まるとこも行き先も行き当たりばったりの貧乏旅行♪ヒッチハイクに野宿生活も覚悟せんとな♪」
『(/_;)・・・・・・大丈夫?・・・・・・・・・・ウチ、心配やわ(>_<)・・・
アメリカて今ものすご治安が悪いでぇ?・・・・・なんか・・・
嫌やわ・・・優ちゃんのこと、心配やわ!なあ、止めて?・・
期間が短くてもちゃんとした旅行社でちゃんとしたホテルの旅行したらええやんかぁ~!』
『^^;あはは、瑛子ちゃん、大丈夫やって!こんなじじむさい男三人の旅行者、襲われるかいな♪」
『(+_+)そんなこと言うて!ウチ、優ちゃんに何かあったら・・・・・もう、生きてられへん!・・・(T_T)ぅぅぅ・・・・・・』
「・・(*_*;あ、・・・瑛子ちゃん・・・・泣かんでもええがな・・
瑛子ちゃん・・・・・」
優一がアメリカへの旅行の話を切り出した時、瑛子は何時になく不安を訴えた・・
その不安がこんな形で・・・
その時の二人は知る由も無かった・・





























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章タイトル: 第6章 瑛子 1976・夏


優一は前期試験が終わった当日の7月15日に東京に移動し、翌日羽田からロサンゼルスに飛び立った。
前日の京都駅新幹線ホームで瑛子は優一と【最後の言葉】を交わす・・
「瑛子ちゃん、まだ怒ってるのん?」
『・・・(*^_^*)うううん、怒ってなんかいいひん・・・・
無事に優ちゃんが帰って来る事を祈るだけや・・・・』
「・・・・大丈夫やって僕は・・・・・そんな柔な男とちゃうで!(^_-)-☆」
『(=^・^=)うん、そやな、優ちゃんは・・・大丈夫、きっと無事に帰って来る・・優ちゃん、コレ、北野神社のお守り・・』
瑛子は優一の手に買ってきた「交通安全」のお守りを握らせ、自分に言い聞かせるように言った。
やがて優一が乗る東京行の新幹線がホームに滑り込む・・
「・・・そしたら・・・瑛子ちゃん、行ってくるし(^_-)-☆」
『・・・・うん(・_・;)・・・・・』
既に涙目になりつつある瑛子を見つめ、もう一言言葉を掛けようとした瞬間、無情にも列車の扉は閉まった・・・
『優ちゃん!(ToT)/~~~・・』
ガラス越しにも瑛子の瞳から大粒の涙がポロポロ零れて行く・・
「瑛子ちゃん(*_*;・・・・」
列車が動き出し、開かない窓に顔をひっ付けて瑛子を見ていた・・・

優一は都内のビジネスホテルに一泊した後、翌日同行する同じ大学の三井と末松の二人と東京駅で合流し羽田に向かった。
三人とも、よれよれのジーンズにTシャツ、背中には登山にでも行くかのような大きなリックサックを背負っている。
羽田を夕刻に出発するアメリカン航空のジャンボジェットで胸を夢で膨らませた若者三人は飛び立って行った。

優一がアメリカに旅立って2週間、その間に1度優一から瑛子のもとに絵葉書が届いた。
【瑛子ちゃん、元気?僕は元気やで!今大陸横断バスの中で書いてます。さっき止まったドライブインで厚さ5センチもあるビフテキ食べたで!やっぱりアメリカやなあ!明日はいよいよロッキー山脈越えや!そしたらまた】
その葉書は【白い雪をかぶったロッキー山脈】のモノ・・
(・・・(ーー゛)もォ、ホンマにこっちの心配も知らんと・・・でも、楽しそうやな(#^.^#)・・・)
暦は8月に入り、瑛子はいまだ都寮に寝起きし、隣接する【都総合病院】でのアルバイトを続けていた。
寮生の殆どは帰省し、瑛子を含む2人だけが寮に残り、
瑛子同様総合病院でのアルバイトに励んでいた。
その一人、福田雅子は瑛子の一年後輩で、京都府の福知山の出身だ。
その雅子ももう数日で福知山に帰省する予定で居たので、
雅子の帰省前に近くの「お好み焼き屋」で外食をした。
「藤先輩、夏休みの間、ず~っと寮にやはるんですか?」
夕刻、瑛子は1年下の福田雅子と寮近くのお好み焼き屋に居た。
夏休みの間寮に賄いは無く、自分たちでの自炊は許されていて、瑛子達も極力朝昼晩とこまめに自炊をしていた。
今夜は福知山の実家に明日帰る雅子の為に特別に来たのだ。
『ううん、私も後1週間程したら一旦帰るねん。お盆前には帰らんとね・・・』
「先輩の彼氏、今アメリカに行ったはるんでしょ?さびしいですねぇ~」
『・・・うん、そやねん・・・7月の15日に発ったからもう2週間になるねん・・・その間、葉書1枚寄こしただけ!・・・まあ、その日の宿も定まらへん貧乏旅やさかいな、葉書くれるだけでもマシかな(/_;)・・・はぁ(+_+)・・・・何事も無く行ってるんやろか?・・・』
「先輩~、元気出してくださいよォ~!(^v^)大丈夫ですって!
そのうち、どっさりお土産買って帰ってきますって♪」
『そやろか?・・・・そやな、ここで心配してても仕方ないしな(=^・^=)・・雅子ちゃん、お好み焼き食べよ♪』
「はい♪・・うわぁ~、美味しそォ~♪・・・ハフハフハフ、・・あちィ~~~!(+0+)」
『雅子ちゃん、ゆっくり食べぇ~な♪・・ハフハフハフ・・あちィ~~!(>_<)』
「先輩、他人の事言えないじゃないですか♪(^O^)」
『ぷっ♪ホンマ♪けど、美味しいなぁお好み焼き♪(≧∀≦)』
その後我身に降りかかる災難も知らず、娘たちは楽しい時間をすごした・・・


8月7日、瑛子はいよいよ大阪の実家に帰省するため寮を出た。
寮を出る時に郵便受けを確かめると、自分宛で、懐かしい筆跡の絵葉書を見つけた。
(♪(#^.^#)優ちゃん・・・・♪)待ち焦がれていた優一からの絵葉書だった♪
【瑛子ちゃん、元気?僕らはアリゾナ州にいます。
凄いで、グランドキャニオン!何万年の時間が作り上げた渓谷の風景に三人、息を呑みました。なんて人間は小さいのだろうと感じました。】
絵葉書はそのグランドキャニオンのモノだった。
見渡す限りの広大な平原が、何万年もの時間によって浸食され、まるで異星の地と思わせる赤土の不毛の渓谷・・・
ソレを優一が見て何を感じたのか・・・・
(♪(#^.^#)優ちゃん、何言ってんだか♪・・)
瑛子はその絵葉書をずっと手にしたまま京都駅から国鉄に乗り、大阪駅で環状線に乗り換えた。
車中でも何度も葉書を読み直す・・
そこには赤土の不毛の渓谷しか映っていないのに、その絵葉書の何処かに優一が芥子粒の様に映って、自分に向かって手を振っているように感じられたからだ・・
(・・・まだ一カ月以上あるんやな、優ちゃんが帰って来るまで(/_;)・・・)
そう思えば心は途端に重くなる・・・
けれどこちらからは、毎日移動する恋人に、
そんな切ない気持を届ける手段は無いのだ・・
(・・・そんな詮無いこと考えても仕方ないわ・・・・優ちゃんは必ずウチの元に帰ってくる・・・・ウチがそのこと信用せんでどないすんの?)
瑛子は自分自身に言い聞かせるようにして、手にしていた葉書をボストンバックの中に仕舞った。
作品名:夢の途中1(1-49) 作家名:ef (エフ)