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ef (エフ)
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夢の途中1(1-49)

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『優ちゃん、ホラ、あれ♪綺麗やな♪(#^.^#)此処まで香り、漂ってくるわ♪』
「ホンマやな♪綺麗なモンやな♪1m位あるんとちゃうか?」

2m以上ある木製の藤棚の至る所から淡い藤色の花房を
垂れ下げている。
観光客がその花房の下で想い想いに記念写真を撮っていた。
「瑛子ちゃん、僕らも一枚撮ろ♪
まずは瑛子ちゃん、その右の藤の花のそばに立って♪」
『うん♪(#^.^#)』
優一は持参したコンパクトカメラで藤の花房と並ぶ笑顔の瑛子を撮った。
肌は小麦色の瑛子ではあったが、藤の花房が瑛子の髪を飾り、まるで舞子の簪の様に見えた。その後二人は国宝・平等院をじっくり時間を掛けて見て回った後、平等院裏出口から出て、宇治川のほとりの道を天ケ瀬ダムを目指して歩き出した。

天ケ瀬ダムとは昭和28年の宇治川の大洪水を契機に、この下流になる西日本屈指の河川・淀川本流の抜本的な治水の為、昭和39年に完成したダムである。
当時は勿論、現在も淀川本流に建設された唯一のダムであった。
高さ73.0メートルのアーチ式コンクリートダムで、淀川の治水と宇治市への上水道供給、総出力59万8,000キロワットにも及ぶ水力発電を目的とした特定多目的ダムであり、
現在ダム機能の強化を目的にバイパストンネル建設を柱とするダム再開発事業を計画中である。
ダムによって形成された人造湖は鳳凰湖(ほうおうこ)と命名され、平等院鳳凰堂などと共に宇治地域の主要な観光地となっている。

余談ではあるが、このダムの上流・滋賀県側を『瀬田川』と呼び、万葉の歌にも詠まれた【瀬田の唐橋】も掛る有名な
河川であるが、琵琶湖から唯一流れ出す河川でもある。
地形的に比較的標高の低い場所に形成された琵琶湖には注ぎ込む河川は数多あれど、琵琶湖から流れ出る河川はこの瀬田川のみである。
この瀬田川が、京都府に入り、『宇治川』となり、更に流れて大阪府との境界付近、サントリーのウイスキー醸造所で有名な『山崎』あたりで、「木津川」「桂川(加茂川)」の三川が合流し『淀川』と名を変えるのだ。
ならば、瀬田川以外、琵琶湖から流れ出る河川は全く無いかと言えば、そうでも無い。
【琵琶湖疎水】は「人工の運河」ではあるが、広い意味での【河】には違わないであろう。
疏水の取水口は現在二か所あり、大津市内と瀬田川下流の南郷の洗い堰にある。
大津市内の浜大津から取水されたものが、京都・三条の【蹴上】まで流れ込み、丁度京都市動物園の裏側に注ぎ込んでいる。
疏水の流れは古くから市民に親しまれ、【古式水練】の場としても使われ、その流れをくみ現在のスイミングスクールの草分け的存在としての【京都踏水会(とうすいかい)】は有名である。
疏水は京都市民にとって身近な河川に違いないのだ。
そしてその流れは平安神宮内の庭園にも取水されている。
皮肉な事に水源の琵琶湖及び淀川水系本体では殆ど絶滅してしまった【瀬田しじみ・イチモンジタナゴ(タナゴの一種)】等がこの人工の池の中でのしっかり生息していることが確認されている。


ゴールデンウイークも過ぎた5月の中旬、快晴の気候で少し汗ばむほどの陽気ではあったが、宇治川の清流を目にしながら歩くので、今風に言うなら『マイナスイオンタップリ』で清々しかった。
川の両側を鬱蒼たる木々が取り囲んでいる
木々には新芽が芽吹き、赤や緑の新緑に溢れる生命力を感じた。
川沿いの遊歩道を歩いて行くと、程無く二人の視界に巨大なダムの姿が見えた。
『うわ~~~、すごい~~!(@_@;)おっきい~~!』
「そや、おっきいやろ?高低差73mあるんやで♪(^v^)
ただおっきいだけやない、ダムはそれはそれだけで美しい建造物やねん♪」
『今は放水してへんの?』
「今はしてへんな。本格的な放水の時はサイレンがなるねん。ほら、ここの河原もみんな水没してしまうわ」
河原では太公望たちが思い思いに釣り糸を垂れている。
『今は何が釣れんの?』
「そやな、今やったら・・・川ジャコ位やろな・でも、六月になったらアユも解禁になって・・ホラ、途中の塔の島のそばで夏には【鵜飼】もやるしな♪」

二人は巨大なダムサイトの脇にある、つづら折りの連絡階段を登りはじめた。
これを登ればダムの上に出られる。
車ならば、滋賀県は南郷に通じる【天ケ瀬ドライブウエー】を平等院辺りから5分程の道のりだが、73mの高低差をつづら折りの階段で登るのは、流石に若い二人の足でもキツイ。
『ああ~~~、優ちゃ~ん、しんど~~い!(@_@;)まだァ~~?』
「(>_<)瑛子ちゃん、も~~チョット、も~~チョットやァ~~!」
途中から半泣き状態の瑛子の手を引き、何とか奈落の底から二人は這い上がった。
『うわァ~~~、きれい~~!(#^.^#)』
切り立った山肌の両岸を、アーチ型のダムが繋いでいる。
鳳凰湖と呼ばれるダム湖が、深い緑の水を満々と湛えていた。
「どや、美しいやろ?(^v^)」
『うん。 優ちゃん、卒業したらこんなダム、造りたいんやろ?』
「そや、こんなダムや大きな橋を自分の手で造ってみたいねん・・・こう云うモノって、自分が死んだ後もず~~っと残るやろ?自分の造ったモンが、自分の子供や孫や、そのまた子供の代までず~~っと残ったら、凄いと思わへん?」
『うん♪想う、想う(^_-)-☆』
「だから僕は土木の道に進む事にしたんや♪(^。^)y」

将来を語り合う二人の目は
抜けるような五月晴れの空の向こうを見ていた。


何時も『遠出』するデートばかりでは無かった。
時間の無い日は行きつけの喫茶店で2時間程、他愛も無い話をするだけで終わった。
それはそれで、ふたりにとって堪らなく貴重な時間であった。
既に【一線を越えた二人】ではあったが、その肌を合わせるのはひと月に一度あるか無いかだった。
それでも二度、三度と肌を合わせるうちに、瑛子も優一も【成熟】して行き、瑛子は女の喜びも得るようになっていた・・
ただ肉体の満足だけでは無く、心の充足を互いに感じていた。
互いに、もう無くてはならない存在になっていたのだった・・

6月21日、優一の誕生日の日に、
優一と瑛子は週末の時間を楽しんでいた。
今日はあの想い出のモーテルで、互いの愛を確かめ合っていた♪
もう何一つ戸惑う事もなく、優一は瑛子の全身を愛撫し、
瑛子も在りのままの姿で応えた・・
二人は何度も何度も時間を忘れて重なり合った・・
帰り道、滋賀と京都の境である逢坂山の辺りが渋滞していて、女子寮近くのマクドナルドについたのが八時半だった・・・
食事も摂らずに、
モーテルに長く居すぎたのが原因だが^^;・・


この日優一は、瑛子に大事な話をしなければならなかった・・
「^^;あんな、瑛子ちゃん・・・・・話があんねんけど・・」
『(?_?)優ちゃん、ナニ?改まって・・・』
「(^。^)y-.。o○・・・実はな僕、この夏大学の友達とアメリカ、行こ思てんねん・・」
『(#^.^#)え?アメリカ?いや~ん、エエやん♪ウチもいきた~い♪お土産買おてきてや!何日?1週間?10日?』
「(^_-)-☆ああ、お土産何がええかな?ざっと二か月位考えてるねん♪」
作品名:夢の途中1(1-49) 作家名:ef (エフ)