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あの頃・・・それから

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 菜々「そう。良く撮れた?」
 巧一「まあまあさ。でもまだ自信はないど、何度か挑戦させてもらうよ」
 菜々「ソッカ。じゃあ、今度、巧一君だけに撮ってもらおうかな?
   お兄ちゃんいいでしょ?」
 祐介「ああ構わないよ」
 菜々「ヤッター!決まりね?今度の日曜日にしましょう?
   あたし海に行きたいの」
 祐介「おいおい菜々、勝手に決めるなよ?巧一君にも予定があるんだから」
 巧一「いいえ、構いませんよ。でも俺独りでは厳しいですよ」
   そこへ、他の部員が挨拶に来る。
 弓 「部長。私たちはこれで帰りますが」
 マリ「部長たちは?」
 祐介「ああ、お疲れ様。俺と菜々は帰るけど、小夜と巧一君は街中を撮影し   に行くそうだよ」
 三村「そっか、じゃあ僕らは帰ります」
   4人、帰る
 小夜「(部員に向かって)お疲れ!」
 祐介「それじゃ巧一君、来週頼むよ」
 菜々「良かった!巧一君来週何時にする?」
 小夜「頑張れ、カメラマン」
 巧一「十時に菜々ちゃんちに迎えに行くよ」
 菜々「うん。それがいい。(祐介を見る)じゃあ帰ろう?」
 祐介「解った。じゃあお先に」
 小夜「じゃあね」
 巧一「失礼します」
   巧一と小夜、菜々と祐介を見送る
 小夜「菜々ちゃんに気に入られたみたいね?うらやましい」
 巧一「ただの同級生だからですよ。俺にはもったいないス」
 小夜「さあ!行こう?」
 巧一「はい!」
 小夜「まずは城下町の街並みが残っているところがあるからそこへ行きま    しょう」
 巧一「へー?いいですね」
   二人、歩き出す

26・電車内=一週間後=

   巧一と菜々、並んで座っている
   巧一、カメラの機能を確かめるように触っている
   なんとなく落ち着かない様子の菜々
 菜々「一時間ちょっとかかるわ」
 巧一「心の準備には丁度いいよ」
 菜々「汐見海岸て言うところ。夕陽がスッゴイ綺麗なの」
 巧一「いいねえ、イメージ湧きそう」  

27・汐見海岸  

   波打ち際で波と戯れる、菜々
   砂浜にしゃがみ込み遠くを見ている菜々
   波打ち際をブラブラ歩く、菜々
   巧一、離れたところから三脚に据えて長いレンズで狙っている
  
28・同・夕暮れ
  
   砂浜に佇む、菜々
   砂に何か絵を描いている
   ・夕焼けの空
   ・沈む夕陽・煌めく海原
   ・夕陽に輝く黒髪
   ・形の良い横顔のシルエット
   ・逆光の中の菜々
   無言のまま撮影は続いていく
   流木に並んで腰掛て夕陽が沈むのを二人で見つめている
 菜々「見ているとアッと言う間に沈んじゃうのね?」
 巧一「そうだね」
 菜々「人の命もあんなものかしら」
   夕陽を見つめてままの菜々の横顔にカメラを向けて撮る、巧一
   その時、菜々の頭が巧一の肩に倒れてくる
 菜々「いい感じね?」
 巧一「・・・・」
   巧一、菜々を見れない。
   菜々、目を閉じて眠ってしまっているようだ
 巧一「菜々ちゃん?」
 菜々「いいの。少しこうさせて?」
   巧一、菜々の言われるままじっとしている
   菜々の表情、歪んで苦しそうな表情になる
   巧一、気づかず、海をみている

29・部室 =数日後=

   机に並べられた菜々のサービスサイズの写真
   巧一の前が一番多い
 祐介「おお、すごいなあ。特に巧一君のがいいねえ」
 弓 「ほんとう。いい感じじゃない?」
 小夜「やるじゃん(巧一の肩をたたく)」
   机を囲みながらぐるぐる回りながら全員で観ている
 マリ「そう言えば、この数日菜々ちゃんを見かけないですねえ」
 祐介「ああ、ちょっと体調崩して休んでるんだよ」
 巧一「マジッスか?」
 祐介「まあそんな心配するほどではないよ」
 三村「5月病ってヤツすか?」
 祐介「まあそんなところだ」
   巧一、不安そうな表情で祐介を見る 
   祐介、巧一を見ようとしないで出て行こうとする
 祐介「俺、ちょっと用事があるから先に帰る。後はみんなで批評しあって    くれ」
   祐介、出て行く

30・高校前のバス停

   祐介、バスを待っている
   そこへ巧一、走ってくる
 巧一「先輩!菜々ちゃんに何かあったんでか?」
   祐介、巧一を見ないで話す
 祐介「いや。そんな事ないよ」
 巧一「海に連れて行ったことで・・」
   その言葉を遮るように言う、祐介
 祐介「大丈夫だって。巧一君の写真、楽しみにてたぞ?」
 巧一「何か変ですよ?」
   バスが来る
   二人、乗る

31・バス内

   祐介、足早に最後部座席に向かう
   巧一、食い下がるように付いていく
   発車の勢いとともに座席に倒れこむように座る、二人
 巧一「ねえ、どうなんですか?」
 祐介「じゃあ、今度の土曜にあの写真見せに来いよ」
 巧一「解りました。必ず行きます」
   巧一と祐介、そのまま黙り込む

32・商店街 =数日後=

   春の日差しが眩しい昼下がり。
   アルバムを脇に構えて歩いている、巧一
   遠めに『花・彩味』の看板
   菜々が店先で水を撒いている
   巧一、一瞬足を止めて菜々を見ている
 巧一「元気そうジャン」
   巧一、そうつぶやくと歩き出す
   そして、そっと菜々の背後で止まる
   菜々、すぐに巧一に気づく
 菜々「アッ!ほんとうに来た」
   嬉しそうな笑顔の菜々
 巧一「元気そうジャン」
 菜々「当たり前でしょう。どこも悪くないもん」
 巧一「この間疲れたみたいだったから、それで・・」
 菜々「(巧一の言葉を遮る)それはそうよ、初めてあんなに長く撮影した    し、チョー!疲れた」
 巧一「そっか、俺も熱が入ってしまったからつい、時間を気にしなかった    よ。今度からはきちんと休憩入れるよ(アルバムを渡す)その結果がこ   れだよ」
 菜々「うわー!重いねえ(パラパラと見る)スッゴイたくさんだね?中へ入   ろう?」
  
33・店内 

   中では幸一、パソコンに向かっている
   桂子、花束を作っている
   菜々と巧一、入ってくる
   幸一と桂子、手を止めて笑顔で出迎える
 桂子「あら!巧一君だっけ?いらっしゃい。初めてよね?」
 巧一「初めまして、いつかはおじさんにお世話になりました」
 幸一「あれから迷わないか?」
 巧一「いいえ、一度違う家に入ってしまいました」
 菜々「それ、やばいでしょう?」
 巧一「まあ、いい人だったから助かったよ。危うく靴まで脱ぎそうだった」
 桂子「そりゃヤバイでしょう」
 幸一「おお、ヤバイヤバイ」
   桂子と幸一、菜々の真似をする
 菜々「いやな二人、中へ行こう?」
   そこへへ祐介、奥から出てくる
 祐介「おお、来たな、ほら、菜々は元気だろ?心配要らなかっただろ?」
 巧一「はい!確かに」
 祐介「ゆっくりして行けよ?どうせ両親は遅いんだろ?」
 巧一「はい。そうです」
 菜々「じゃあ、夕ご飯食べていけるわね?」
 巧一「でも、それじゃ申し・・・」
   桂子、巧一の言葉を遮る。
作品名:あの頃・・・それから 作家名:Riki 相馬