【第七回】感想肌の君
南が言うと阿修羅がヒラヒラと手を振った
「南…誰アンタじゃなく…誰アンタ等だ…」
京助が阿修羅の横にある二本の紺色の足を指差して言う
「オライは阿修羅ってんだ」
ニッと笑って阿修羅が割れた窓から室内に入ってきた
「そんで…アソコに見えているのがヨシコ…の足」
阿修羅が親指で紺色の二本の足を差す
ゴキッ
鈍い音と同時に紺色の二本の足が阿修羅の後頭部にのめりこんだ
「ヨシコじゃないって言ってるでしょッ!!」
「おぉおおお!!!」
ヨシコの格好に3馬鹿と京助から歓声が上がった
「すげぇ!! 露出高っ!! 」
「寒そうだけど嬉しい格好ですなぁ!!」
「今までに来た奴らの中で一番嬉しい格好ですね京助さん」
「そうですね坂田さん」
興奮気味の3馬鹿と京助をヨシコがじっと見ていた
「ねぇ貴方たち…りゅー様って知らない?」
阿修羅を踏みつけたままヨシコが3馬鹿と京助を見た
「りゅー…?」
顔を見合わせた4人が首をかしげたあと首を横に振った
「…おっかしいわ…確かにここなの!! 絶対そう! 間違いないの!! ねぇ隠してるとかじゃないわよね?」
ずいっと3馬鹿と京助に顔を近づけてヨシコが再び聞く
「京様からお離れになってくださいましッ!!」
ヨシコと京助 (3馬鹿も)の間に割って入ってヒマ子さんがヨシコを睨んだ
「京…様? って栄野京助?」
ヨシコが言うと3馬鹿が揃って京助を指差した
「あなたが? …待って待って? …栄野…父親の名前とかわからない?」
ヨシコがヒマ子さんを押しのけて京助に迫る
「俺の?;」
京助が聞くとヨシコが頷いた
「…わりぃ; 覚えてねぇんだ;」
京助が苦笑いで言うとヨシコがむすっと頬を膨らませた
「つっかえなーぃっ! 自分の父親の名前くらい覚えておきなさいよ!!」
「…ちょい待てよ」
立ち上がって腰に手をあててヨシコが言うと中島が同じく立ち上がってヨシコを見た
「…なによ」
自分より20センチくらい背の高い中島を上目で睨んでヨシコが言う
「京助のオヤジさんはなッ!! 京助が悠くらいん時に死んでるんだよッ!」
中島が怒鳴るとヨシコが目を丸くした
「…し…って…死んだ…って…うそ」
ヨシコが京助を見た
…初対面のお前に嘘ついてどうするよ; ってか何で中島がキレるわけさ;」
京助が頭を掻きながら言う
「お前がキレないから代わりにキレてるだけだろが」
中島が言うと南と坂田が頷いた
「…ねぇ…本当に父親の名前覚えてない…?」
さっきとは打って変わって小さな声でヨシコが聞く
「…悪ぃ…」
京助が言うとヨシコが泣きそうな顔を上げた
「じゃぁ!! じゃぁ…アナタ栄野京助じゃないんでしょ!! そうよね!!」
ヨシコが京助に再び顔を近づける
「失礼な!! この方はれっきとした栄野京助様でございましてよ!!」
ヨシコと京助の間に再び割って入ったヒマ子さんが怒鳴る
「だってッ!! …それじゃぁ…りゅー様…は…」
作品名:【第七回】感想肌の君 作家名:島原あゆむ