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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回】感想肌の君

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ソコには紺色の二本の足
「凍ってるんちゃうかい? 壊しても…って」
その足のほかに見えたのはしゃがみこんだ青年の顔
「やは」
その青年はヒマ子さんに向って笑顔で手を上げて挨拶をした
「何?」
すると紺色の二本の足が折れて今度は少女が顔を覗かせた
「…何あれ」
少女がヒマ子さんを見るなりヒマ子さんを指差して隣の青年に尋ねた
「あ…あれとは失礼なッ!! 私には悠様のくださった【ヒマ子】というれっきとした名前がございましてよ!!」
ヒマ子さんが鉢に書かれているミミズ文字を見せて怒鳴った
「いや~そりゃ悪かったよな;」
青年が苦笑いで謝った
「オライは【阿修羅(あしゅら)】んでこっちがヨシコ」
阿修羅と名乗った青年が隣の少女を指差して言うとヨシコの踵落しが阿修の頭にヒットした
「ねぇねぇヒマ子さんだっけアナタ」
ヨシコガ阿修羅の頭の上に踵を乗せたままヒマ子さんに聞く
「そうですわ」
ヒマ子さんが答えるとヨシコが少し何かを考え込んだ後部屋の中を覗き込んだ
積もった雪のせいでで部屋の中を見下ろす形で真剣に室内を見渡すヨシコをヒマ子さんが怪しい目で見ている
「…なんですの?」
躊躇いがちにヒマ子さんが声を掛けるとヨシコが体を起した
「間違いないここよ。ここだわ絶対そう」
ヨシコが嬉しそうに両手を合わせて笑った
「ここだわって…ヨシコお前…まさ…」
踵落しのダメージがまだ抜けてない様子の阿修羅が顔を引きつらせてヨシコを見ると時すでに遅しヨシコの紺色の片足が高らかに上がっていた

「安心しろ~? 茶とお菓子食ったら帰るだによん」
南がハッハと笑って石段を登り始めた
「お前が俺ン家に求めてるものは茶か」
京助が南に続いて石段を登る
「なんなら晩飯も求めてやろうか?」
坂田と中島がほぼ同時に石段に足をかけた

ガシャ------------ン!!!!!

「きゃぁあああ!!」
これが火曜サスペンス劇場ならばここで ジャジャーン!! という迫力のBGMが流れ始めるのであろう的物音と悲鳴が聞こえた
「…今のって」
石段の途中で足を止めた3馬鹿と京助が顔を見合わせた
「…ヒマ子さん?」
五秒ほど沈黙した後揃って全力で残りの石段を駆け上がり栄野家の玄関の戸を思いきりあけるや否や履いていた靴を一応脱いで京助と中島がヒマ子さんのいる元開かずの間の前まで来たが止まりきれずにそのまま戸ごと室内になだれ込んだ

「京様!!」
ヒマ子さんの声で顔を上げた京助の目の前には割れたガラスと入りこんだ雪そして嬉しそうなヒマ子さんの顔
「うっわ! 窓割れたの?; コレ」
後から来た南が室内を見るなり声を上げた
「あ~あ…怪我ないか? ヒマ子さん」
「ぐぇ;」
坂田が倒れこんでいる京助と中島を踏んで室内に入る
「起そうって気持ちはないんかい;」
中島と京助が起き上がって坂田に聞く
「ないね」
坂田が舌を出して答える
「おんやぁ…おかえり」
窓の外から聞こえたおかえりという言葉に3馬鹿と京助が振り返った
「…誰アンタ」