【第七回】感想肌の君
「ひとつ聞いてもいいかしら」
それまで黙ったままだった母ハルミが口を開いた
「竜之助は元気?」
一同の視線が向けられる中母ハルミが一言 迦楼羅達に聞いた
「元気といえば元気だ」
迦楼羅が答える
「そう…」
迦楼羅の答えを聞きどことなく嬉しそうに微笑むと母ハルミは立ち上がり
「晩御飯の用意してくるわ」
そう言って茶の間から出て行った
「さっきのハルミさんめっちゃ嬉しそうだったナァ」
坂田がボソッと言う
「…あの人…本当にりゅー様のこと好きなんだ…」
ヨシコが手に持ったままだった羽衣を握り締めた
「そりゃそうだろ? 好きなヤツのだから子供産んだんだろう?」
慧喜がさらッと言う
「俺は悠助が好きだから悠助の子供産むんだ」
慧喜の発言に照れた3馬鹿と京助が明後日の方向を向いたり軽く咳をしたりしている
「そして好きなヤツとの子供だから好きなんだろう? ハルミママ様は竜が好きでその竜との子供の義兄様と悠助が好きなんだ…好きじゃなきゃ…俺だったら嫌だ」
慧喜はそう言うと悠助をぎゅっと抱きしめた
「いいこというねぇ慧喜っちゃん…過激発言込みだけど」
南がウンウンと頷く
「…私ハルミママさん手伝ってくるっちゃ」
いきなり緊那羅が立ち上がり振り返りもせずに茶の間から出て行った
「…乾闥婆お前緊那羅に何ゆーたんよ;」
緊那羅が出て行った後京助が乾闥婆に聞く
「事実と現実そして過去です」
「…サザエさんの予告のような三本立て」
乾闥婆の答えに中島が突っ込む
「緊那羅は知らないことが多い」
迦楼羅が言う
「知ることによって傷つくこともある…遅かれ早かれ知ることを乾闥婆は教えただけだ」
その迦楼羅の言葉から少しの間沈黙が茶の間にやってきた
コチコチという時計の音たまに吹く風の音や台所からなのかたぶん鍋の蓋を落とした音
「なぁ竜のボン等」
阿修羅が京助と悠助に声を掛けたところで沈黙が終わった
「お前さんたち緊那羅とか慧喜とか…好きか?」
「は?;」
「うん!!」
突然の阿修羅の質問に素っ頓狂な返事を返した京助と笑顔で大きく頷いた悠助
「俺も悠助好き」
慧喜が笑顔で悠助の頬にキスをした
「あ~ハイハイそこは熱い熱い…お前は?」
阿修羅が京助を見る
「京様!! 私のことは如何に!!?」
ヒマ子さんが真剣に聞いている
「何照れてるんだよ」
中島が京助の首に腕を巻きつける
「照れてねぇッ;」
京助が怒鳴る
「照れてるよねぇ?」
南が笑いながら京助の脇腹を突付く
「やめぃッ!!;」
「ウ~ラウラ白状しろ~スキデスカ~?」
南に向かって怒鳴った京助の反対の脇腹を坂田が突付きながらハッハと笑う
「やめぃゆーとるやろがッ!!;」
京助が首を左右に振って更に怒鳴る
「京様!! 私はッ!!」
ヒマ子さんが更に聞いてくる
「ええぇい!! やかましいわ!! たわけッ!!;」
3馬鹿と京助のドタバタ騒ぎに迦楼羅が怒鳴った
「貴方もうるさいですよ迦楼羅」
そして乾闥婆が迦楼羅の髪を引っ張る
「俺はッ!! 嫌いなやつと話すような広い心はもってねぇよッ!!;」
京助がそう大声で言うと3馬鹿含め茶の間にいるものの動きが止まった
「訳します。【俺はみんなが大好きよ】」
そして坂田が京助の言葉を解釈する
「そっか」
阿修羅はニッと笑い
「オライはコレも好きだぞ」
そしてテーブルの上のハニワを軽く指で弾いた
作品名:【第七回】感想肌の君 作家名:島原あゆむ