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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回】感想肌の君

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夕食が終わったあとのなんともいえない匂いがする茶の間で後片付けをしているのは乾闥婆と緊那羅
3馬鹿を見送りにちょっとソコまで出向いているのは京助と阿修羅
コマとイヌの枕になっているのが迦楼羅
あくびをした悠助の頭を撫でているのは慧喜

「…それは貴方が持っていて?」
元開かずの間の割れたガラス部分に即席補修をしていた母ハルミが羽衣を返そうとしたヨシコに言った
「それは元々ヨシコちゃん達の国のものなんでしょう?」
ビーっとガムテープを伸ばしながら母ハルミが言う
「でも…これは貴方がりゅー様からもらった…」
ヨシコが羽衣を握り締めて言う
「私は思い出と京助、悠助をもらったんだもの。それにその布…どう考えても私は有効につかえないと思うの…ホラ、言うじゃない? モノは使ってこそなんぼのもんって」
母ハルミが振り向いて笑った
「だから…ね?」
羽衣に顔をうずめたヨシコ)がコクリと頷いた

石段の下からがふっというゲップが短発で聞こえてくる
「ちょい食いすぎたかナァ;」
口元に手をやりながら南がまた軽くゲップをした
「俺も…ッぷ」
坂田も同じく
「俺ン家食堂とかじゃねぇんんだけどねぇ;」
京助も微かなゲップ混じりに言う
「本当か!! 本当にいいんきにッ!?」
阿修羅のめちゃくちゃ嬉しそうな声がゲップに混じって聞こえる
「おーい!! 竜のボン! もらった!!」
そういって阿修羅が嬉しそうに高らかに掲げたのは中島作のあのハニワ
「あ~ハイハイ;よかったな;」
ハニワを両手で掲げヘラヘラと笑う阿修羅を見て京助が口の端を上げる
「んじゃま、ごっそさんでした」
「明日なー」
坂田と南が手を振って歩き出すと中島が小走りしながら京助の背中を叩いて坂田と南を追いかけた
「ありがとなー! そこのでっかいの!!」
阿修羅がブンブン手を振って3馬鹿を見送った
「…確かに大、中、小だな…」
並んで歩いていく3馬鹿の後姿を見て京助が呟いた
3馬鹿の後姿が豆くらいになったのを見計らって京助が石段に足をかけた
「…お前…阿修羅だっけ? 本当気に入ったんだなハニワ」
大事そうにハニワを手に持つ阿修羅に京助が言う
「おうさ!!」
ソレに対し親指を立てて嬉しそうに阿修羅が返事をした
「…なぁ俺の父さんってどんなヤツ?」
遠くで聞こえる豆腐のチャルメラがやたら大きく聞こえた
「竜か…」
阿修羅がハニワを片手で持ち空いた手で頭を掻いた
「性格はお前ともう一人のボン足したようなもんで…外見もお前ともう一人を足したようなもんだ」
阿修羅が答える
「似てるのか? 俺と悠と父さんって」
京助が聞く
「そりゃな親子だしな…似てるぞ」
阿修羅が言うと京助の顔がほころんだ
「…そっか」
そんな京助を見て阿修羅が微笑む
「今の笑った顔とか結構似てたんぞ?」
石段を登り京助の横を通り過ぎながら阿修羅が言うと照れ隠しからなのか京助が一段飛ばしで石段を駆け上って行った

洗い桶の中に溜まった水に蛇口から水滴が落ちて波紋ができそれがゆっくりと消えて緊那羅の顔が映った
「……私は…」
水面に映った顔がゆらゆらと揺れる
「緊ちゃん? テーブル拭いた?」
母ハルミに呼ばれて慌てて振り返った緊那羅の手が洗い桶に当たり水面が波立つ
「あ、さっき乾闥婆が…」
そういいながら台所から出て行った緊那羅
揺れる水面にまた水滴が落ちた