【第七回】感想肌の君
「…二人とも楽しそうだっちゃね」
やっとのことでヨシコの踏みつけから開放された阿修羅を起す手助けをしながら緊那羅が呟いた
「ねぇ阿修羅…吉祥の言う【りゅー様】って…あの?」
起き上がり首をコキコキ鳴らしている阿修羅に緊那羅が聞く
「ああ…たぶん間違いないって迦楼羅が言ってたしな…だからヨシコも確かめたくなったんだろうさ」
阿修羅が楽しそうに母ハルミと話しているヨシコに目を向けた
「…俺さっぱり話の内容わからなんだぁにー」
南が言う
「俺もだぁにー」
中島も言う
「俺は一個だけわかっただぁにー」
坂田が【ハイ】と挙手した
「ハイ、坂田君」
南が指名する
「京助は類共の類だってことだぁに」
「オイ、コラ、待てソコ;」
坂田が京助を指差して言うと京助が坂田に裏手ツッコミを入れる
「それはいえてる」
中島が頷く
「主軸♪主軸♪」
南がアフリカかどっかの民族の踊りのような踊りを踊る
「類共♪類共♪」
中島と坂田も同じく踊りだした
「俺は生贄かッ!!;」
京助が怒鳴った
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【りゅー様】こと栄野家の父親【竜之助】の話で大いに盛り上がっている母ハルミと吉祥(きっしょう)を見て悠助が無言で慧喜を見上げた
「僕のお父さん…りゅうのすけって言うの?」
悠助が慧喜に聞いた
「竜之助…っていうか…竜? とにかくそうみたいだね」
慧喜が笑顔で答えた
「お父さんも慧喜さんと同じところから来たの?」
悠助が再び聞く
「竜は【天】からだから緊那羅とかと一緒」
さりげに慧喜が緊那羅の名前を口に出すと緊那羅が反応して慧喜を見た
「緊ちゃんと? じゃああるらんとかと一緒なんだ?」
悠助が緊那羅を見る
「? どうしたんだちゃ?」
悠助に視線を向けられて緊那羅が悠助に声を掛けた
「ねぇねぇ緊ちゃん…僕のお父さんってどんな? どんな? 」
をキラキラさせて悠助が緊那羅に聞いてきた
「竜のボン~緊那羅はたぶん竜のことはあんま知らないと思うぞ?」
ハニワを片手に阿修羅が言う
「…ゴメンだっちゃ;」
緊那羅が苦笑いで答えた
「緊那羅(きんなら)が来てからすぐ…いや…くる前か? とにかく突然姿くらませたからナァ…まぁ変わりにオライが教えてやるよ」
阿修羅がヘヘッと笑う
「本当!!!?」
悠助が嬉しそうな笑顔を阿修羅に向けると慧喜がどことなく不機嫌そうな顔になる
「そっちの竜のボンもこっち来て聞くか?」
京助を振り返り阿修羅が京助に声を掛けた
「竜のことだ殆ど壊してんだろうな記憶…全然覚えてないんだろ? 竜…オヤジのこと」
悪戯っぽく笑った阿修羅を真っ直ぐ見て京助が頷いた
「話して…迦楼羅に怒られないっちゃ?」
緊那羅がボソッと小声で阿修羅に言う
「ここまでおおっぴらに名前まで出しちまって今更…。コイツらには知る権利があるだろ?」
阿修羅がハニワを撫でながら言った
作品名:【第七回】感想肌の君 作家名:島原あゆむ