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ダメイジェン
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novelistID. 26352
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リレー小説 『暗黒と日記』・第一話

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「第一回! チキチキ! 肝試し大会ー!」
 『まよチキ』という、ライトノベルのネタらしい。よく分かんないや、少佐の趣味は。
 ということで、肝試し当日。
 にもかかわらず、現在の時刻は午後三時。
 快晴。
「なあ、こんなに早く集まる必要なくね? しかも男だけで」
「ふっ、実はね――」
 言って少佐は、自前のリュックサックから一冊のノートを取り出した。
 少し薄汚れているし、端も折れている。
 物を大事に扱う少佐のものではないのは確か。
 それに少佐はルーズリーフ派だし。
「これ、昨日先生が資料整理してたのを手伝ってた時に見つけたんだけどさ……」
 話によると、このノートは日記として使われているらしくて。
 初めの日付は、昭和三十九年・七月十四日、らしい。
 もちろん僕らは生まれちゃいない。
 過去の遺産。
「で、それがどうした」
「……この日記、まだ更新されてるんだよね」
 まるでこれからの肝試しの序章のように、ゆらぁり。
「う、嘘だね。そんなことあるわけないもんっ」
「そうだそうだ! でっ、出鱈目言うな!」
 背中に嫌な寒気がつうっと伝う。
「あは、疑うなら……見てみればいいじゃん」
 黒い、笑顔。
 そう、少佐はこういう子。分かってたけどさっ。
 おそるおそる、ページを繰る。夏休み真っ盛りだっていうのに、僕らは一体何をしてるんだろうね。
 ぱら、ぱら、ぱら。
「一日一日、ちゃんとつけてるんだな……」
 小唄が、呟く。ついーとする。
 どこ見てんだよ、これ、一週間ごとに書かれてるだろ。
 《いっしゅうかんのまとめ》。
 そう、タイトルが付けられていて。
 二行くらいの短いものが、綴られている。
 素朴。
 おそらく、小学四年生くらいの字だ。
 背骨がちょっと曲がったような字。
 ぱら、ぱら、ぱら。
 そして。
「……二千年」
 とうとう、二十世紀にまで。
 《どんだけマメなんだ》とか、そういう次元ではないのに。
 異常。
 ぱら、ぱら、ぱら。
「……先週」
 おかしい。
 コイツは、頭がおかしい。狂ってる。
 突然、周りの音が聞こえてきて。
 蝉の鳴き声や、車のエンジン音が急に騒々しく感じる。
「…………」
「……ホラー、だな」
「うん、法螺じゃないんだけどね」
 ああ、なんて緊張感のない一言。
 でも、そのおかげでちょっとだけ浮世離れして見えた。
 この、……《呪いの日記》が。
「で、この日記の今後のことなんだけどさ――「焼き捨てよう」ってえぇええええ?! 本気で言ってんの?!」
 いや、かなり正統派の意見だよ? 普通だよ?
「普通、コレについていろいろ調べるでしょっ!」
 それは好奇心旺盛な君のような人間のとる行動だ。
 と、いうことで。
「一人でやってくれ」
「うん」
「薄情者ッ!」
 涙を拭いながら、颯爽と駆け出す少佐。
 僕と小唄は、二人仲良く手を振った。