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ダメイジェン
ダメイジェン
novelistID. 26352
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リレー小説 『暗黒と日記』・第一話

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 次の日。
 この話はナシになるだろうという予想は、さも当然のように当たらなかった。
「昨日メールもらったよー。賛成でありますっ!」
 やたら身長の低い少女が、朝一番に僕に話しかけてきて。
 左手で敬礼。僕は死んじゃいない。
 と。
「……あれ?」
 この子の名前、なんだっけ。
 記憶にノイズがはしったように、思い出せない。
 彼女は、なんという名前で……何をしていた?
 普通、人間というのは他人の顔を見ただけで(無意識下で)その人についての情報が――主観的な性格やらその人の好みとかが、頭のなかを飛び回るはずだ。
 なのに、僕の脳みそにはこの子に関する情報は、ない。
「ああ、だろ? 楠子にも連絡しといたからよ、これでメンバーは揃ったろん」
 と、フレンチに小唄が会話に加わる。
 柏原楠子(かしわばらくすこ)。彼女のことは分かる。
 小唄といつも一緒に行動してるし、つまり小唄のカノジョだし。
 でも……。
「そ。じゃあ、宿題やってないから。ばいばい」
 ひらひらと手を振って、彼女は自分の席に戻る。
「なあ、八朔」
「僕は八朔じゃないっ!」
 まったく、僕の名前が八乃朔(はちのさく)だからって、馬鹿にして!
「まあそう怒るなよ。……ところで、あの女の子の名前なんだっけ」
 え、小唄もなのか……。
「僕も覚えてないんだよね」
「え、それは変だな……」
 むう、と表情を硬くして。
「あ、そうだ。少佐に聞けばいいじゃん、メール送ったんだから知ってるだろ」
 もっともな意見だ。

「知らないなぁ。アドレスは《少女B》で登録してあるし」
 なんて薄情なヤツなんだ!
 わざわざ隣のクラスまではるばるやってきたのに、収穫はなし。
 と。
「他人の本名なぞに興味はない。俺が興味を持つのは――」
 ごくり。

「――女子のスカートの中身だけだ」

 硬派なキャラが台無しだよっ! せっかく様になってたのに!
 とうとう、彼女の名前と周辺は分からずに。
 その後クラスメイトに訊いてみても、《あれ……?》なんて反応がほとんどだった。
 そして、彼女の秘密は以後二度と明かされない。
 誰であるかも。
 何であるかも。