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ダメイジェン
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novelistID. 26352
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リレー小説 『暗黒と日記』・第一話

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 夜の帳。
 静かに、そして妖艶に迫る闇が、心を落ち着かせてくれる。
 《日記》のことなんて、忘れてしまえるほどに。
「準備は全部やっといたから。あとはメンバーがそろうのを待つだけ」
 昼間の出来事は綺麗さっぱり流したかのように。
 少佐は言う。
 時刻は午後十一時過ぎ。
 夏だからとはいえ、十分すぎるほどに真っ暗で。
 闇の中に聳える校舎は、見ているだけで不安感を煽る。
 この中に――
「這入るんだよ?」
「ぎゃっ」
 いきなり後ろから話しかけてきた女の子が。
 まあこんな時間に学校で会う人なんて、一人しかいないんだけど。
「そういうのホントいいから……」
「あははー、いいんだよ?」
 この、ちょっとぽわぽわした感じの子が、柏原楠子ちゃん。
 彼氏さんはまだ来てないみたいだけど。
 楠子ちゃんは、いわゆるファッションリーダー的存在。
 うちの中学校にも、《私服だから》という理由だけでわざわざ校区外から通ってきていて。
 今日のファッションは、黒のタイツにスカートも黒っぽいブランド物、おまけに上も黒ときている。黒髪長髪なのも黒さに磨きをかけていて。
 絶対《わっ》とかやるつもりだろ。ファッションとか抜きにして。
「えへへー、当たりだよ?」
「やっぱりか!」
 そんなふうに和気藹々としていると。
「……楠子は渡さねえ」
 彼氏さん登場。
「あ、こうちゃん。やっほー」
「はいはい、やっほー。あんまり目の前で見せつけんでくれ」
 呆れた様子で、こちらに向かってくる小唄。ていうか《こうちゃん》呼ばれてるんだ。へえ。別に羨ましくなんか……。
「で、全員そろって……ないじゃねえか」
 四人。
 ……あれ?
「そういえば、元々のメンバーって五人?」
「いや? 深澄がいる」
 深澄優季(みずみゆき)。
 病院がちの虚弱っ子。あんまり学校に来てないはず。
 たいして喋ったことがあるわけでもない。たぶん、小唄もあんまり仲良くないんじゃないかな。
「……ああ、楠子、結構仲良いんだよ」
「良いんだよ?」
「そうなんだ……」
 知らなかった……。
「じゃあ、深澄と……あの子が来れば、始められるな」
 すっ、と。
 沈黙が、割って入る。
 《あの子》。未知の、X。
「ま、気長に待とうや。少佐、人数分のジュース買って来てくれ」
「えーなんでボクが」
 言いながらも、立ちあがり自販機に向かう少佐は、やっぱり優しい。
 四人で、二人を待った。