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でんでろ3
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死刑執行のパラドクス

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<考察4>



「そうじゃなくてだな、このときの出来事に、『死刑執行のパラドクス』の『ひみつ』が隠されているのだよ」
「と、言いますと」
「そのとき、彼らが、説明を聞き入れなかったのは、別に私の説明が下手だったからじゃない。彼らの主張は、単純明快。こうだ。
『問題文が、面積が増えた、と言ったんだから、増えたんだ。
問題文が嘘をつくはずがない』」
「は?」
「うむ。ありがとう。当時の私も、まさに、『は?』だった」
「だって、並べ替えたら、面積が増えるなんてありえないでしょう」
「私も、そう思った」
「そしたら、問題文の方が嘘だとしか……」
「しかし、彼らにとっての『ありえないランキング』は違ったんだ。『問題文は嘘をつかない』が不動の1位で、『並べ替えたら面積が増える』の方が下だったんだ」
「はぁ」
「でまぁ、今一度考えて欲しい。『死刑執行のパラドクス』を単純化した問題の夫が正直者で絶対に嘘をつかない夫だったことを。これが、言ったことを全く守らないちゃらんぽらんな夫という設定でやったら何か意味があるか?」
「無いですね」
「そして、『死刑執行のパラドクス』自体、判決を言い渡すのは重責を担った厳格な裁判官であって、そこら辺の飲み屋でクダ巻いてる酔っぱらいのおっさんではない」
「その例えは、どうでしょう?」
「まぁ、とにかく、『実行不可能なことをやる』と言っているのを一笑にふせない相手、もしくは状況だな、が、肝要ということだ」
「まぁ、『自分の死』というのは、この上もなく重い問題ですから、相手がどんなにトンチキなことを言っても、気にしない訳には行きませんものね」