死刑執行のパラドクス
<まと……め?>
「で、以上のことをまとめると、どういうことになるんでしょうか?」
期待を込めて、僕は聞いた。
「どう、って?」
「いや、だから、まとめなり、結論なり、解答なり、対策なり」
「対策……?」
「そうだ、先生、実験、やって下さいよ」
「実験……?」
「当てて下さい。さぁさぁ、目をつぶって、向こうを向いて……」
先生が目をつぶって向こうを向くと、僕は人形を隠した。
「さっ、いいですよ。……目も開けて下さい。お約束ですね」
こっちを向いた先生が、ひとつひとつ紙コップを開けていく。木曜日を開けたとき……。
「あっ」
「『あっ』って、全然ダメじゃないですか」
「当てられる訳ないだろう。『入れられない』という点においては、すべての紙コップが対等なんだから」
「『対等』ですか? でも、土曜日の紙コップに入れるとですね……」
僕らは、また振り出しへと戻って行く。延々と心地良い堂々巡りをするために。
作品名:死刑執行のパラドクス 作家名:でんでろ3