死生学研究科
中野「研究室ごとに内容は全然違ってる。うちは哲学と話し合いが基本だけど、他の研究室だと、医学とか細胞学でやってるとことか、民俗学と文化人類学からアプローチしてる研究室とか。」
森山「へえー。」
中野「まあ説明はこんなとこかな。」
森山「ありがとうございます。」
高見「森山はもうこの研究室に?」
森山「僕は仮配属でたまたまここに。」
高見「特例措置か。」
森山「ええ。そうなんです。」
高見「ここには色んな研究室があるから後で見に行くといい。」
森山「あ、はい。」
福島「刃物振り回してるような研究室もありますからねぇ。」
森山「刃物ですか?」
高見「変な言い方はやめろ。普通に解剖のためだろ。」
福島「そうとも言います。」
森山「ここに来るの初めてなんで、あんまり怖がらせないで下さい。」
福島「はいはい。分かりましたよ。」
中野「話の邪魔して悪いんだけど、他3人が今どこにいるか分かる?」
高見「いえ。分かりません。」
福島「多分テラスじゃないですかねえ?」
高見「テラス?」
福島「昼食の後、3人で話しててそのまま」
赤石と白井と境が入って来る。
赤石「すんません。遅れました。」
境「すいません。」
白井「すいません。完全に油断してました。」
中野「どこにいたの?」
赤石「昼食のテラスでだべってたらその」
福島「ほら。」
森山「ホントですね。」
赤石「え?誰その人?」
森山「あ、はじめまして。」
赤石「メグロの知り合い?」
福島「違いますよ。」
白井「教授のお知り合いですか?」
中野「いや。」
赤石「じゃタカミィ?」
高見「赤の他人だ。」
赤石「じゃお前一体誰なんだよ。」
森山「僕は院生です。」
赤石「どこの?」
森山「ここの。」
赤石「はい?」
森山「僕は中野研究室の院生です。」
赤石「はぁ!?え、どういうこと?」
中野「前に説明したはずだけど。」
赤石「前に説明って、一体いつなんですか?」
中野「たしか、3日前。」
赤石「マジすか!?おぉー俺の記憶は3日と保たないのか!ってなわけねえな。それ多分教授の勘違いですよ。」
中野「そうだったかな。じゃあなんか適当に」
赤石「適当に?そこはまず教授の謝罪から入って欲しいっす。」
高見「お前いちいちうるさい。」
赤石「うるさいって何だよ。」
福島「さっきからシュウ氏ばかり話してるっすよ。」
赤石「ああ。」
福島「それを言いたかったんですよタカミィは。みんなも質問したいのに、シュウ氏ばかり前に出てしまって」
赤石「なるほど。」
福島「まるで便所バエのようだと!」
赤石「ちょい!そこ」
福島「ショウジョウバエよりも劣る劣悪な存在だと!」
境は赤石を羽交い絞めにする。
赤石「てめーちょっとこっち来い!」
境「どうどう」
赤石「おい汐也。邪魔すんなって。」
高見「そこまでは言ってないんだが。」
赤石「アヤ。メグロのやつ殴れ。」
境「落ち着け。」
白井「はいはい。それで、同学年ってことよね。名前教えてもらっても?」
森山「あ、はい。森山 小太郎です。ここには仮配属で来ました。」
白井「この時期に?転入生ってこと?」
森山「いえ、院から入学してるんですが、その少し前に事故に遭っちゃって。」
白井「えーそうなんだ。」
赤石「おめー後で覚えてろよ!」
福島「お!ここでその名言が聞けるとは思わなかったっす。」
赤石「その減らず口へし折ってやる。」
境「文章間違ってるぞ」
赤石「うるせー。」
白井「それで大学生のときは?」
森山「大学のときは経済学部だったんですが、独学で死生学の勉強を。」
白井「すごいねえ。院試は難しかったでしょ?」
森山「ええ。僕はたまたま受かったようなものです。」
福島「シュウ氏はあまり力ないんですね?」
赤石「は?」
境「おい福島。」
赤石「力ないわけじゃねーよ。汐也の体力なめんな。バスケ超うめーから。」
境「何の話だ」
白井「ちょっと静かにしてよ。」
赤石「アヤがメグロ殴れば静かになるっての」
白井「やらないわよ。」
赤石「汐也もそろそろ離せ」
境「落ち着いたらな」
福島「森山氏。あれがシュウ氏ですよ。言う割にヘタレなんですよー。」
森山「はぁ。」
赤石「変な紹介すんな。」
高見「いい加減にしろ! 耳障りだ。」
赤石「…ごめん。」
福島「すいません。」
高見「ふん」
赤石「そんな怒んなくても、なぁ?」
福島「ですねー。まあタカミィなら仕方ないって感がありますが。」
赤石「あっ分かるそれ。」
白井「はぁ。それで院試に合格した話だったかな?」
森山「まぁ。それよりお聞きしたいんですが、皆さんはつき合い長いんですか?」
赤石「ああ。けっこうみんな1回生から知ってるよな。」
境「人数少なかったから。」
森山「へえー。」
境「ここ3人なんかは1回生からつるんでたし。」
白井「そうだね。クラス一緒だったのもあって。」
境「で、何でそんなことを?」
森山「僕みなさんのことまだよく知らないので。」
赤石「そういや自己紹介がまだだったな。」
白井「ああ、そういえば。」
赤石「じゃあ俺から。M1の赤石 シュウ。シュウは季節の秋って書くんよ。趣味はアニメとか。これからよろしくな」
境「境 汐也です。色々聞いてくれたらアドバイスするし。」
森山「はい。よろしくお願いします。」
白井「私もM1。というかM1しかいないけどね。白井 綾華です。趣味はパズルかな。良い人たち多いからすぐ慣れるよ。」
森山「はい。パズルですか?」
白井「うん。そうだけど?」
森山「珍しい趣味を持ってるんだなと思って。」
白井「パズルって言っても数独とかフリーセルとかも含めてだから。」
赤石「アヤにパズルやらしちゃダメだぜ。止まらなくなるからな」
白井「何よその言い方。」
森山「どういうことですか?」
赤石「見た方が早いな。アヤこれで数独やってみ。」
白井「うん。」
赤石は白井にスマートフォンを渡す。
森山「わー速いですね。」
境「あーあ。」
赤石「子供のときからよくやってるんだったよな?」
森山「アヤさん?」
赤石「ほら何も聞こえねーんだ。」
境「アキルキの話したときもパズルしてたかも。」
赤石「ああ!それで覚えてなかったのか。可能性ある」
森山「アヤさーん?えっ、これいつ帰って来るんですか?怖いんですけど」
赤石「そのうちだよ。じゃあ次はタカミィいく?」
高見「ああ。高見 嶺哉だ。趣味はネット。気を付けて。」
森山「何にですか?」
高見「ここ色々あるから。」
森山「はぁ。」
赤石「何もったいぶった言い方してんだよぉ。このこの」
高見「何だ?」
赤石「別に。お得意のパソコンテク見せてやったらどう?」
高見「それは不要だ。」
赤石「何で?」
高見「死生学に関係ないからだ。」
赤石「ふーん。はいじゃあ次メグロいこっかー?って俺MCみたいじゃね?」
境「どこがだ。」
福島「僕は福島 目黒っす。三次元にはあんま興味ないっす。」
森山「ああーじゃああっち側の方で?」
福島「あっち側って。ヲタクが別人類とでも言いたげですねぇ。そう思ってるんすか?」
森山「いやそういうわけじゃ。」
福島「こっちの世界に引き込みますよ〜。」
森山「いやけっこうです。」
赤石「教授もやっときます?」