死生学研究科
赤石「アヤに押させるわけにはいかねえ。俺が代わるよ。」
白井「うん。」
赤石「どいてて。」
赤石が爆弾の側まで行く。
赤石「アンソニー、サドナウ。ヴェーバー、パーソンズ。アリエスエリアス、エミール・デュルケームデーケン!&西部すすむ先生。俺に力を。」
森山「今の何です?」
白井「死生学の偉大な先人たち。今白魔術使ってたし。」
森山「白魔術!?」
赤石「よし、押すぞ。」
赤石が爆弾のスイッチを押す。
パソコンから電子音がする。
白井だけがパソコンに駆け寄る。
赤石「ふぅ。」
白井「何これ?」
森山「変化ありました?」
赤石「いや特に。」
福島がパソコンを持ってやって来る。
福島「借りてきたっすよパソコン。これで犯人に復讐出来る。」
赤石「メグロ。」
福島はパソコンをテーブルの上に置く。
福島「少し起動と接続に時間がかかりますが、準備でき次第、戦闘開始っすよ。」
森山「おお。こんな頼れる人だったとは。」
福島「必ず犯人の居場所を突き止めてみせます。」
赤石「そんなのどうやって覚えた?」
福島「タカミィに教えてもらったんすよ。ハッキングからなにから。まだタカミィには遠く及びませんけど。」
赤石「へえ。」
福島「タカミィ直伝のパソコンテクを発揮する時っすね。」
赤石「ところでアヤは何してんの?」
白井「パソコンにメールが来てるの。少しだけ動かせるようになってて。」
赤石「メールの中身は?」
白井「クロスワードだけ。」
赤石「やれってことか。」
白井「返信は出来るみたい。」
赤石「他にはなんか出来るか?」
白井「ううん。他は制限されてる。」
森山「クロスワードを解けば、爆弾も止まるとか?」
赤石「そう、だな。いけるのかな。」
森山「いけますよ。」
赤石「何とかなる気がしてきた。」
森山「僕もです。」
白井「何とかなるよ。」
赤石「おっし。みんなで助かろうぜ。」
白井「そうね。」
赤石「よっしゃ反撃開始だ。」
森山「やりましょう。」
白井「うん。」
赤石「犯人にひと泡吹かせてやる。」
アニソンが流れる。
赤石「ちょっメグロ。」
森山「メグロ君。」
福島「何すか?」
赤石「ちょっ曲やめて。」
福島「何でですか?」
白井「全然そんな空気じゃないんだけど」
福島「アニソンかけないと集中出来ないっすよ。」
白井「せめてイヤホンしてもらっていい?」
福島「仕方ないですね。」
アニソンが止む。
赤石「えっと頑張ろう。」
森山「はい。」
赤石「よし、クロスワード解こうぜ。」
白井「うん。やってみるね。」
白井はクロスワードに没頭する。
赤石「Aの4は死生論じゃねえか?」
森山「その横は…あ、はい。」
赤石「下の7行は…って聞いちゃいねえ。」
森山「ですね。」
赤石「よし、メグロの方は順調か?何か手伝うことあったら言えよ?」
森山「聞こえてないですよ。」
赤石「うん。そうみたいだな。うーん、何もやることねえ。」
森山「ええ。」
赤石「茶飲む?」
森山「はい、いただきます。」
中野が壁を破壊して出てくる。
中野「ぷはぁー」
赤石「教授!?」
森山「え!?どこから?」
中野「ふぅ。ここにたどり着いたか。」
森山「外にいたんですよね?」
中野「うん。はあ疲れた。ちょっと手貸して。」
森山「はい。」
中野「いったんお茶くれる。」
森山「あ、はい。どうぞ。」
中野「ありがとう。」
森山「ってくつろごうとしないで下さい。」
中野「いいじゃないか。」
森山「まず状況説明を。」
中野「はぁ。」
森山「どうやってここに?」
中野「壊して。」
森山「何を?何で?」
中野「爆発音聞こえた?」
森山「はい。」
中野「あれは私がやったんだよ。」
森山「規格外すぎる。」
中野「とにかくお茶くれる?」
森山「はい。」
中野はお茶を飲む。
赤石「どうして来てくれたんですか?」
中野「もう生徒に死なれるのは御免だからね。」
赤石「はぁ。」
福島「えっ教授!?どうしてここに?」
赤石「反応が遅えよ。」
白井「えっ教授!?何でここに?」
赤石「そっちもか!」
森山「外から来れたってことは、教授が通ってきた道を帰れば脱出できるってことですよね?」
中野「いや、帰りはやめた方がいい。爆破の影響が大き過ぎて。」
森山「もしかして塞がれちゃったんですか?」
中野「うん、まあ。」
森山「助けるならちゃんと助けて下さいよ。」
中野「そうだね。」
白井「外では犯人からの要求はありましたか?」
中野「いや、私がいたときはなかったよ。こっちはどう?」
白井「このクロスワードぐらいですね。他には何も。」
中野「そう。」
福島「教授。犯人について何か分かったことあります?」
中野「そのことなんだけど、一つ重要なことが分かって。犯人は境君と高見君なんだ。」
赤石「は?汐也とタカミィが?」
白井「嘘。」
赤石「それ何かの間違いじゃないですか?」
中野「事実だ。」
白井「ユウヤと高見君が、どうして?」
赤石「あの2人が敵?」
中野「おそらく境君と高見君だけの犯行。」
赤石「脅されてやったとか?」
中野「いや、むしろ楽しんでると思うよ。」
赤石「楽しむ?この状況を?」
中野「2人の思考パターンや価値観を考えると、これはおそらく大学への報復などではなく死生学に関する大規模な実験。」
森山「それなら危険は少ないってことですか?」
中野「むしろ逆だよ。死生学のこうした実験にはいつも死人が付き纏うんだよ。」
白井「ユウヤが。どうしよう?どうしたら?」
赤石「アヤ」
白井「だってユウヤが死んじゃう。」
中野「そうと決まったわけではないよ。」
福島「うーん、タカミィが相手だったんですねぇ。タカミィの癖なら熟知してますよ。」
赤石「メグロ」
中野「それが爆弾なのかな」
赤石「ええ。」
中野は工具箱からドライバーとハサミを取り出し、爆弾に向かう。
森山「教授。どうするつもりですか?」
中野「解体だよ。」
森山「そんなこと出来るんですか?」
中野「まあね。ここの教授やってると妙な技術が身に付くんだよ。」
赤石「なあアヤ、汐也が死ぬってどういうことだよ?汐也の目標のことか?それだったら…」
白井「解けたの、クロスワード。」
赤石「何て出てきた?」
白井「また会いたいねって出てきた。これユウヤの遺書だよね。てことはもうユウヤは…。」
赤石「挨拶もなしでか…」
白井「ユウ言ってたよね。何か生きた証を残したら、幸せに死ねるんじゃないかって。」
赤石「その実験がこれか。」
中野「ん?これは」
森山「どうかしました?」
中野「これは、爆発しない。」
森山「え?」
中野「回路の繋ぎ方が違う。」
赤石「どういうことですか?」
中野「たぶんわざと爆発しないように作ったんだろう。」
赤石「やっぱ汐也の目的は。」
福島「見つけました。」
赤石「ホントに?」
福島「ええ、犯人の居場所。」
赤石「場所どこだった?」
福島「ここっす。」
赤石「えっどこ?」
福島「ここですよ、灯台もと暗し。多分上の階っすね。」
赤石「アヤ、行こう」
白井「でも、もし…。」
赤石「もしとか言うな。絶対死なせたりしねえ。」
白井「シュウ。」
赤石「早く探し出そう。」
白井「うん。」
森山「手伝いますよ。」