朝霧の中で・・・
そういうもんなんだ。色んな事が恥ずかしいんだな、恵子は。
「でも、綺麗だね、いい匂いするし」
そう、恵子の部屋は綺麗に片付いていていい香りがした。
「分かる?部屋中の色んなところに、石鹸置いてあるの。いい匂いのヤツだけね」
「そうなんだ、いいね」
女の人なんだな、こんなこと多分、男には思いつかないだろうな!
「でも、暑いでしょ?今、クーラーのスイッチ入れたから、もう少ししたら涼しくなると思う。我慢してね?!」
「窓開けるとうるさいのよ、車の騒音が」
「ね、シャワー、浴びてて!汗かいちゃったでしょ?重い荷物持たせちゃったから」
「有難う、でも先にいいの?」
「いいよ、こっち」
玄関を上がって右の方に台所、その奥にトイレとお風呂だった。
「ここね、取っ手を赤の方に捻れば熱くなって、水色の方ならお水」
「このレバーを上にするとシャワーになって、下に向ければ蛇口から出るからね」
恵子は親切に教えてくれた。
「有難う、大丈夫だよ。じゃ、お先に」
脱衣所スペースのカーテンを閉めて裸になった。
「あ、最初は冷たいのが出るからね、気を付けてね?!」
「うん、分かった!」
折りたたみ式の風呂場のドアを開けて入る。
蛇口を捻ると、最初は水・・徐々に温かくなってきた。
でも暑いからぬるい位で丁度いいな。
「石鹸とかシャンプーとリンス、分かる?」
恵子がドアの外から声を掛けてくれた。
「分かるよ、大丈夫〜!」
「体洗うタオルは、中に掛かってるの使ってね!」
「ハ〜イ!」
シャワーを終えたボクは、風呂のドアを半分開けて恵子に声をかけた。
「上がるよ!」
「ハ〜イ!」
うん、何かいい感じだ。
恵子はドア越しにバスタオルを渡してくれた。
バスタオルで髪と体を拭いたボクは、脱衣カゴに置いてあるオレンジ色のTシャツと白の短パンを見つけた。
「え、これ、着ていいの?」
「入るかな・・・私のだけど、大き目のヤツ出してみたんだけどね」
「着てみて?!」
うん、ぴったりかも・・。
「どう?似合う?」
「あら、いいじゃない?可愛いよ!」
可愛いって、そんな。
部屋も涼しくなってた。シャワーから上がった後の火照った体には有難かった。
ボクはリビングの床に座って、部屋を見渡してた。
「涼しいね、嬉しい」
「私も浴びちゃおうかな。冷たいものは冷蔵庫に入ってるから飲んでて!」
「は〜い」
恵子がシャワーを使いだすと、何か気になってしょうがない。
人の、いや、好きな人のシャワーの音がこんなに気になるなんてやっぱりボクはエッチなんだな。
風呂場のドア越しに恵子が体を洗ってる様子が何となく分かる。
今、入っていったら・・なんてね!
止めとこう、恵子が上がってくるまで大人しくしていようっと。
暫くして、シャワーの音が止んでドライヤーの音がしてきた。
「あ〜、サッパリしたわ。けっこう汗かいたもんね!」
風呂上がりの恵子を見るのは三度目かな?
いいもんだな、やっぱり。
「ふ〜、暑いあつい。私、ビール飲もうっかな・・」
「いいね、ボクも飲みたい!」
「今、持って行くね」
リビングに座って、二人でさっき買ってきて冷蔵庫に入れてた缶ビールを開けて乾杯した。
一気に喉に流れ込む冷たいビール・・美味しい!
「あ〜、美味しいね!」恵子も満面の笑みだった。
「ご飯、何時くらいにする?」
「6時でいいんじゃない?え、でも、もう食べられるの?」
「うん、ご飯はかけたしお汁も出来たから後はお肉と野菜を炒めるだけ、もうちょっとかな?」
「分かった。もう少ししたら、お願いします」
「はい」
ニッコリ笑う恵子、お風呂上がりの恵子は最高だった。
ビールは美味しかった。
恵子も、すぐに一本空けてしまった。
「もう一本、持ってくる?」とボクが言うと、「止めとく、お腹いっぱいになっちゃうから」
それもそうだ。あんまり飲んではご飯が入らなくなっちゃうな。
「ね、聞いていい?」
「何?」
「私がシャワー浴びてた時、ひょっとして見に来た?」
「ありゃ、バレてた?こっそり行った積もりだったんだけどな」
「やっぱりね!影が動いたのが見えたんだもん、エッチね、本当に」
「恵子さんは、エッチなボク、いや?」
だめだ、もう我慢出来ない。
微笑みながらボクをからかう恵子に抱きついて、少し強引にキスをした。
舌を入れて、恵子の舌に絡ませて。
「ん、もう・・」
恵子は嫌がらなかった。
ボクはビールの缶をテーブルに置いて、恵子を抱きしめた。
「いい匂いがする」恵子が言った。
「恵子さんも」
恵子はシャワーの後、Tシャツの下にブラジャーをしていなかった。
シャツの下から手を入れた。すぐに柔らかいおっぱい。
揉みながら、乳首を指で挟んだ。
「んん、ダメ、したくなっちゃうでしょ?」
ダメって言う割には、嫌がってないんだから可愛い。
ボクはキスしたまま、恵子のTシャツを脱がせた。
「・・エッチ」
「だって」
恵子さん、とボクは名前を呼びながら愛撫した。
「ね、さんはやめて?」
「ん?」
「いくら年上でも、さん付けはイヤ」恵子は目を閉じて言った。
「分かった、じゃ、恵子・・でいい?」
「うん、その方が嬉しい」
「じゃ、ボクの事は?」
「何て呼ぶ?」
何て呼んだらいいの?と恵子が体を離して言った。
「う〜ん、伸幸だから・・」
「ノブがいい!」
ノブ?とボクは恵子を見つめた。
「うん、ノブ・・ノブって呼ぶね、これからは」
「分かったよ、よろしくね、恵子」
ボクはキスしながらリビングのカーペットの上に恵子を倒した。
そして、そのまま愛し合った。
「どうしよう」
ボクらが汗だくのまま、カーペットの上で仰向けになっていた時に恵子が言った。
「ん?何が?」
「私、実はエッチだったのかな」
どうして?とボクは後始末したティッシュをゴミ箱に投げ入れて言った。
「ううん、何でもな〜い!」
恵子はそう言って「ご飯作ってくるね」とリビングから出ていった。
そうか、恵子もエッチなんだ。
ボクはまたゴロっと横になり天井を眺めた、ニヤニヤしながらね。
いつの間にかボクは眠ってしまった。
途中夢を見ていた。
川のせせらぎが聞こえる気がして。
目が覚めて気づいた時には、恵子はいなかった。
「あれ?」裸だったボクの体にはタオルケットがかけられていた。
台所の向こうから、水の音。
恵子はどうやらシャワーを浴びている様だ。
そうか、川のせせらぎに聞こえたのはシャワーの音だったのか。
部屋はもう暗くなっていて、もう完璧に夜ってことが分かった。
時間は?とテーブルに置いた腕時計を見ると、何と8時を過ぎていた。
「うそ!」2時間以上も寝ていた事になる。
疲れていたんだろうな、やはり。
起き上って暫くボーっとしていたら、シャワーの音が止んだ。
「そうだ!」
ボクは起き上って台所とリビングを隔てるドアの横に、タオルケットを頭から被って立った。
ドアが静かに開いて台所の明かりが差し込んできた。
「ノブ、起きたかな?」恵子のつぶやき。
「ワッ!」
「キャ〜!」と恵子は叫んで座りこんでしまった。
「やった〜!ビックリした?!」
「・・・・・」