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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・伍】茶柱の心

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「…きは止められないし変えられないけど僕も矜羯羅も緊那羅と同じく【二人】を守りたいんだ…」
そう言いながら制多迦が乾闥婆に目を向けた
「…めんね…前の【時】の時にこんな考えもってなかった…だから…」
「いいんです」
こぼれたお茶を拭きながら乾闥婆が制多迦に笑顔を向けた
「もう…過ぎたことです」
湯気の立つ人数分の湯飲みを見て乾闥婆が言った
「あ…」
乾闥婆が声を上げると一同が乾闥婆に目を向けた
「どうしたの? けんちゃん?」
悠助が乾闥婆に声をかけた
「乾闥婆…?」
迦楼羅も続いて乾闥婆を呼ぶ
「…?」
京助が乾闥婆の視線の先の湯飲みを覗きこんだ
「お! 茶柱!! 本日二回目ッ!」
プカプカと緑色の鮮やかな茶の中に浮かぶ小さな柱が浮き沈みするたびに波紋が広がっては消えていく
「ほぉ…珍しいな」
迦楼羅が椅子の上に上って上から見下ろした
「僕も見たい~」
悠助が言うと制多迦が悠助を抱き上げようとした
「俺がやります制多迦様ッ!」
悠助を奪い取るかのように慧喜がすばやく悠助の腰に手を回して抱き上げた
「あ…ありがと慧喜さん」
悠助が笑顔で慧喜に向って言うのを制多迦が苦笑いで見ている
「すっかりライバル視されちゃってるっちゃね」
緊那羅が制多迦に言う
「…うだね…; でも…あんなに嬉しそうな楽しそうな慧喜今まで見たことないから…」
制多迦が慧喜を見ながら微笑んだ
「…ぁいいや」
悠助を抱き上げてにこにこしている慧喜は本当に嬉しそうでおもわず緊那羅も笑顔になった

「…んとう…京助と悠助って…不思議」
制多迦が小さく言った
「…くも…変われるかな…前の僕じゃない僕になれるかな」
胸に下げてある飾りを握って制多迦が言う
「…制多迦…?」
目を閉じて飾りを握ったままの制多迦を緊那羅が覗き込むと同時に制多迦の頭から小気味いい音がした
「…たい;」
頭をさすりながら制多迦が向けた視線の先には台所の入り口に背中を預けている矜羯羅
どうやらいつものごとく玉を飛ばしたらしい
「…てたわけじゃないんだけど;」
制多迦が懸命に寝てはいなかったことを矜羯羅に訴える
「…変われるんじゃない? 僕だって変わりつつあるの…自分でもよくわかるもの」
手を腰に当てて制多迦の方に体ごと向いた矜羯羅の口元が微笑を浮かべる
「…りがと」
制多迦が矜羯羅に向って微笑んだ