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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・伍】茶柱の心

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「茶柱とは…縁起がいいな」
迦楼羅が茶柱の立った湯飲みを手にとった
「しかも今日は二回目なんだぜ~一回目は俺が淹れたヤツにたってさぁ~」
京助が迦楼羅の肩に手を置いて笑う
「茶柱立つと何かいいことあるの?」
慧喜に抱きかかえられたまま悠助が聞く
「願い事がかなうとかいいことが起こるとか何だかんだいってたぞ?」
京助が3馬鹿がいた時に言い合ったことを思い出して言う
「誰が?」
悠助が京助に聞いた
「は?」
京助が聞き返す
「お茶を淹れた人の願いがかなうの? 飲んだ人の願いがかなうの?」
悠助が再び聞く
「あ~…? …どうなんだべ?;」
京助が頭を掻きながら何気に迦楼羅を見た
「…ワシを見るな;」
迦楼羅が京助の視線から逃げて乾闥婆を見る
「どっちなんでしょうね」
乾闥婆がにっこり笑って悠助に言った
「淹れた人ならけんちゃんの願い事がかなうんだね」
悠助が笑顔で乾闥婆に言う
「僕の…願いですか…?」
乾闥婆がボソッと言う
「けんちゃんの願い事って何?」
悠助が乾闥婆に聞く
「僕の願いは……」
乾闥婆がちらりと目を向けた先には湯飲みの中を見たままの迦楼羅
「…お茶冷めますね」
乾闥婆がにっこり笑ってお茶の入った湯飲みをお盆に乗せだした
「けんちゃん?」
悠助が乾闥婆に声を掛けると笑顔だけが返ってきた
「てかさ全員ここに集まってんだし別に茶ココで飲んでもいいんじゃねぇ?」
京助が言う
「駄目です行儀悪い」
乾闥婆がピシャリと言い切った

「でも…かるらん飲んでるよ?」
悠助の声に一同の視線が迦楼羅に集まった
ズッという音が迦楼羅の口元から聞こえた
「…なにやってるんですか」
乾闥婆が迦楼羅に向かって言う
「あ~あ…」
京助がこれから起こるであろう乾闥婆の制裁を思い浮かべて口の端を上げた
「やはりお前の淹れる茶は美味いな」
ホゥと息を吐いて迦楼羅が言った
「…せめて座って飲んでください」
想像していた制裁がなかったことに京助は少し驚いた
「かるらんの飲んでるのって茶柱立ってたヤツだよね~じゃぁかるらんの願いがかなうのかな?」
悠助が笑って言う
「ワシの願い?」
立っていた椅子に座って迦楼羅が悠助に聞き返す
「茶柱のたったお茶を飲んだ人の願いがかなうならかるらんの願いがかなうってことだよね?」
悠助が慧喜を見上げると慧喜が笑って頷いた
「でも淹れた人の願いがかなうならけんちゃんの願いがかなうんだよね?」
悠助が今度はそういいながら京助を見た
「まぁそうなるわな」
湯飲みを一つ手にとって京助が答える
「かるらんの願い事って何?」
悠助が目をキラキラさせながら迦楼羅に聞いた
「…願い…か」
湯飲みの中に浮かんでいる茶柱を見ながら迦楼羅が呟く
「けんちゃんの願い事は? さっき聞けなかったから」
悠助が今度は乾闥婆に向って聞く
「え…あ…そうですね…」
笑顔で乾闥婆が返事をした
「…悠」
京助が悠助に声を掛けた
「なぁに?」
きょとんとして悠助が京助を見る
「願い事って言うのはな人に話せば話すだけ叶うのが遅くなるんだぞ」
京助が言う
「えぇ!! そうなの!? かるらん!! けんちゃん!! 言わないでッ!!;」
悠助が慌てて耳を塞ぎながら言う
「…本当にそうなんだっちゃ?」
緊那羅が京助に小声で聞いた