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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・伍】茶柱の心

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手を叩き合わせた軽い音が沈黙を流した
その音の主は乾闥婆だった
「…けんちゃん…?」
悠助が乾闥婆をに声を掛けると乾闥婆がにっこりと笑顔を返した
「お茶淹れますね」
そしてそのまま立ち上がり戸口へと歩く
「お茶…って…;」
京助が少し驚いた表情で乾闥婆を見た
「…京助、緊那羅…そして悠助…手伝ってくれませんか?」
体を半分廊下に出して乾闥婆が京助と緊那羅、悠助を指名した
「うん!」
悠助が元気よく返事して慧喜の膝から立ちあがった
「悠助がいくなら俺もいく」
悠助の後を追って慧喜も立ち上がる
「え…あ…うん」
緊那羅も立ち上がり戸口に向って歩く
「俺も?;」
京助が自分を指差して言うと乾闥婆が微笑みながら頷いた
「…乾闥婆…」
迦楼羅が乾闥婆を呼ぶと乾闥婆がその笑顔のまま迦楼羅を見た
「…僕に話させて下さい」
京助が廊下に出ると乾闥婆が戸を閉めた

カチチチチ…ボッ
という音がしてガスコンロに青い火がついた
火力を最大にしてその上にやかんを乗せる
「湯のみさっき下げたやつ洗ってつかっていいっちゃね」
緊那羅が腕まくりをして食器洗い用のスポンジを手に取った
「俺はなにすりゃいいんだよ; やることねぇなら戻って…」
京助が頭をかきながら言う
「手を動かしながら聞いてください」
乾闥婆が言うと一同が揃って顔を見合わせその後 乾闥婆に視線を向けた
「慧喜は…知っていると思いますが口を挟まないで下さいね」
乾闥婆が慧喜を見て言った
「…わかったよ」
少し膨れて慧喜が言う
「ありがとうございます…京助、そして悠助、緊那羅…今から僕が話すことは前の【時】の出来事です」
乾闥婆がお茶ッ葉の缶を手に話し始めた
「え? 何? 前の【時】って…前にもあったのか?」
京助が乾闥婆に聞く
「【時】は繰り返します…何度も何度も…そうやって今ができているのです」
コトリとお茶ッ葉の缶をテーブルに置き乾闥婆が目を伏せた
「…わけわからん;」
京助が緊那羅を見た
「私も前の【時】の事は全然わからないんだっちゃ;」
湯飲みを洗い終えた緊那羅がまくっていた袖を下ろしながら苦笑いを京助に返した
「だから貴方も呼んだんです」
乾闥婆が言う
「僕全然わかんない…」
悠助が慧喜を見上げた
「後からわからないところおしえてあげるよ悠助」
慧喜が笑顔で言って悠助を抱きしめる
「前の【時】が訪れた時…緊那羅貴方が今おかれている状況に迦楼羅がいました」
乾闥婆が緊那羅を見た
「え…私の今の状況…て」
緊那羅(きんなら)が首をかしげる
「【天】か【空】かの見極め役です」
「あ…」
乾闥婆に言われて緊那羅が何か思い出したように小さく声を上げた
「そして前の【時】の…【時】という扉を開ける為の二人の【鍵】の名前が…」
乾闥婆が少しの間沈黙した
「…けんちゃん?」
心配した悠助が乾闥婆をの名前を呼んだ
「…名前は【沙羅(さら)】と【沙汰(さた)】…」
乾闥婆が小さく二つの名前を口に出した