【第六回・伍】茶柱の心
「さぁな」
京助がヘッと口の端を上げて笑う
「言いたくないことだってあるだろ」
そういいながら京助が横目で乾闥婆と迦楼羅を見た
「そうだっちゃね」
緊那羅が眉を下げて笑う
「お茶、冷めるんじゃない?」
矜羯羅が湯飲みを手に取った
「たまには立ち飲み茶ってのもよかちゃう?」
京助が湯飲みに口をつけた
「僕も飲むー」
悠助が手を伸ばすと慧喜が湯飲みを悠助の前に持ってきた
「…仕方ないですね…今回だけですからね」
乾闥婆の言葉に制多迦と緊那羅も湯飲みを手に取った
「飲み格好はどうであれお前の淹れた茶の美味さは変わらんだろう」
迦楼羅がそう言って笑うと乾闥婆がどことなく照れた素振りで湯飲みを手に取った
作品名:【第六回・伍】茶柱の心 作家名:島原あゆむ