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はちみつ色の狼

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車から降りて来た時からそうであったが、目の前の砂の海は言うか、山というか。
ここにある筈のアンテナと、連絡の施設のドアの部分を探し当てて掘り進めると言う簡単な作業ではあるが、その始点が全くわからない以上この作業は永遠に続きそうだなとため息をつきながら一人ごちする。
ジャンやルイスが仕官時代に行った際も、同じように砂に埋もれた蟻を探すような作業で参ったことを思い出す。
あの頃は、研修の隊長も厳しくこんな大祭ごときで早く帰ろうなんて言う甘えた上司ではなかった。
スコップの持ち方がおかしいだと言われては殴られ、砂粒が飛んできた言っては蹴られてきたような辛い思い出でもある。
正直参ったのは砂から蟻を探す作業ではなく、その上司のご機嫌をどう取るかという心理戦であったのも言うまでも無い。
そういえば、あの頃からルイスは口がうまくてそんな上司の逆鱗からするりと逃げ回っていた気がするが、
その逆にジャンはよく目が反抗しているとかで殴られた経験が多々あったようなきがする。






作品名:はちみつ色の狼 作家名:山田中央