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はちみつ色の狼

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「ぐ、軍曹?!」
「いでっ!!!な、なんすか?」

ジャンの下には、両手を宙に挙げて降伏のポーズをとる軍曹。
そして、その背後にはルイス、新人研修二等兵が集まって来て此方を見ている。

「え、演習は?!」
「・・・雨で、中止。」

ジンの横をすり抜けて、テントの中に入ってきたルイスが苦笑を浮かべながらジャンと軍曹を眺めて屈む。
ジャンはその言葉にはじかれるように、他の新人達が開けたままのテントの入り口から外を見ると、思っていた以上のバケツを引っくり返したかのような滝のような雨が見えた。
いつのまにかジャンの横で腕を組み立っていたへリングが眉間に皺を寄せながら、ジャンとジンとを交互に見る。

「・・・・質問がある。」
「でしょうね・・。」

ぼそりと呟くような低い声が、へリングから漏れる。
それはやすやすと想像できた言葉だったが、ごくりと唾を飲み込むジャン。
ジンは、もうすでに自分の持っていたパイプ椅子を座れる状態へと直し座っている。
それもそのはず、何故だかわからないが、その質問を受けているのは欠く言うジャンなのである。
少し首を捻りたいところであるが、へリングには昼間に医務室にはいるところを見られていたこともあり、この質問にジャンが答えられるであろうと思うのも無理は無い。

「・・・・。」
「なんで、医務用テントが黒焦げになった・・?」
「・・・・。」
「それと、なんで指揮官のテントに二人が居る?」


それも、そんなぼろぼろになって?という、続きの言葉を聞く途中ジャンはその場にゆっくりと座り込んだ。
なんでと言われても・・・と、その場に座り込んだジャンともう一度椅子に腰掛けて直したジン達は思わずお互いの顔を合わせるしかない。
口を開く前に軽く頭を掻くジャン。そして、重い口が開かれた。



「話せば・・・、ほんと〜〜〜〜〜〜〜に、長くなりそうなんすけど?」





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作品名:はちみつ色の狼 作家名:山田中央