小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

はちみつ色の狼

INDEX|13ページ/101ページ|

次のページ前のページ
 

////////////////////////////////



遠くの方から砂漠の風の音とは違う音が聞こえてくる。
それは、どちらかと言えば重厚な機械音。
みな各々立ち上がり、車やヘリコプターの音のする方を眺める。
上層部から派遣されたヘリコプターや、科学捜査部隊が数十分も経たないうちにやって来た。

ぞろぞろと黒いユニフォームに身を包んだ男達が、車やヘリコプターから降りてくる。
ヘリコプターから降りてきた中には、執務室付の中佐エバ・コールマンの姿もあった。
彼女は、頭からすっぽりと砂よけにかベージュのポンチョをかぶり、皆と同じように砂漠での仕事用にか、ゴーグルを嵌めている。
その姿からは想像しがたいが、彼女は美しい金色の長い髪の毛をいつも後ろで束ね、強い意志を持つような同じく金色の瞳をしている。
30歳の若さで異例の昇進を遂げた彼女だが、同じく同じ年の執務室大佐のエレノア・ライトも二人ともども庶民に愛される心優しい上司として人気があり、軍の憧れである。
彼女の場合どんな変な格好をしようが、常人がするよりもファッショナブルに見えてしょうがないセンスを持ち合わせているモデルような女性であり、西部基地の三大アイドルの内の一人である。
名実ともに西部基地のナンバー2で、よく非常事態と呼ばれる任務を仕切るように訪れることが多い彼女が、
今回は別段非常事態の危険ない代物でないのに少し不思議だと首をひねるが、少し前の新人研修の責任者が彼女だと言うことに気がついてすぐに合点が行く。

その場にジャン達によってすでに立てられていた鉄の杭に、手際よく黄色のテープを張り出していく黒服の男達。
黄色のテープには、『危険、関係者以外立ち入り禁止』の文字。
遠めに見えるが、男達は慎重に遺体を掘り出そうと懸命であるが、その深度は深いのか遺体が柔らかすぎるのか苦労しているのが伺える。
男達は、色々と口々に呟き、書類に何かを書き込んだりと大変そうだが、こちらには何も手伝えることはない。
ただ、一つだけ伝えられる事実は、遺体を発見した人間はジャン・シルバーマン少尉とリード・ストック二等兵であることだけ。
黙々と行われる作業の中、ルイスは先ほどの検分を紙に控えていた物をその中心に立つエバへと渡し、横に並び少し会話を交わしている。
ルイスとエバではかなりの身長さがあり少しだけ面白く思え苦笑を浮かべるが、すぐさまこちらを振り返るルイスに苦笑に気が付かれたのではとはっとしたが、
彼はただ静かにこちらへと歩いてくる。
そしてその口から呟いた言葉によってこの隊も作業の延期なのか、中止なのかとりあえずの停止を余儀なくされた。

「・・こんな危険地域のシールされたら穴掘りの作業はできないね。」

ルイスはもっともな事をぼそっと言うと、自分だけ車に戻っていって運転席のドアを閉める。
そしてその窓をクルクルと開けてから顔を出して一言。

「帰還!!全員、車内に戻って、今から兵舎に帰る!」

と言い放った。





作品名:はちみつ色の狼 作家名:山田中央