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はちみつ色の狼

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先ほどまでよほど遠くにいたのか全く姿が見えなかったルイスなのだが、思いのほかすぐに現れた。
ルイスだけではなく、他に3名ほどの隊員を引き連れて小走りにその場に寄り、ジャンと同じようにその物を注意深く観察する。
ジャンと違う事といえば、別段そのジューシーな物から目を背けていないことだろうか?
すぐさま軍の上層部へと連絡を入れるようにと他の隊員にと、車をこちらに回してくるように指示をだし、自分はその場の検分を始めた。
ここでやれる検分といえば大体は決まっている。
経度、緯度はもちろんGPS、風向き。
それらの情報を細かく分析して、すぐさま兵舎へと連絡が取る。
ルイスが現場の検分で忙しく働いている間、その遺体の数メートル先にルイスと共に来た他の隊員によって運ばれた鉄の杭を1メートル間隔にサークル上に立てて行き、その場を仕切る。
この現状は毎日のような砂嵐のような強風が吹き荒れる地帯、その風のせいで遺体が易々と埋め戻されたりしては、場所の特定にまた時間が掛かる。
杭で場所を示すことで、もし何か証拠品があったとしても、どこにあるのかなど調べやすくなるし遺体の掘り出し作業にも役に立つというものだ。


とりあえずは、遣れるだけのことは遣り本部から着たら即現場を渡せるようにしておく必要があった。
軍関係の敷地内の事故なのか、事件なのか。
あの死体の一部、緑の指先からは未確認飛行物体なんかの不可思議な事件を想像させるのだが、実際のところ何もわからない。
現状は保護され、あとは調査部隊の到着を待つだけとなった。
車も遺体の近くに回され隊員全員が、その杭の傍へと集まってくるが、このような状況で穴掘りを再開させることなどはできない。
はっきりいって、今それをすることにより現状を破壊する行為もしくは、証拠品の破損などにも等しい行為とも言える。
とは言え、この場に立っていても何もすることはない。
ルイスは別段何を気にすることもなく、遺体の見える位置に腰を下ろし、それを見習って隊員たちが座っていく。
ジャンは一応、死体を見ないように見ないようにしているが、緑の影は瞳の奥へと入ってくる。





作品名:はちみつ色の狼 作家名:山田中央