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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回 ・四】On泉

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ドン

「あ…すいません」
部屋を出て行った乾闥婆の謝る声が聞こえた
「なんもよ気にすんね」
続いて聞こえたのは女性の声
「婆ちゃんの声だ」
坂田が部屋の出入り口に向って歩き出した
「みっつ!!」
坂田が廊下にでると嬉しそうな女性の声がした
「いんやー!! でっかくなって!! ますますみのりににてきちゃーのー!」
坂田の母の漁師なまりが入った言葉は婆ゆずりなのだろうか
「婆ちゃん痛ぇって;」
京助と南、中島がこっそりと廊下に顔を出すとぽかんとしている乾闥婆の横で坂田に頬すりしている小柄だけど恰幅のいい女性が顔を上げた
「お…お邪魔ぶっこいてます!!;」
中島が言うと南と京助が頭を下げた
「いーぇ!! こっちこそみっつが世話になって」
浅黄色の着物を着た坂田婆が笑いながら礼を返した
「ってか婆ちゃん…他にあんまり客見えないんだけど」
婆に抱きつかれて少し乱れた浴衣を直しながら坂田が聞いた
「そりゃアレさね…組員さんが来るかとおもってたから今日明日と予約取らなかったンよ。今いるのは予約外の客だけさね」
坂田婆が坂田の頭をグリグリ撫で回して言った
「んだとも最近の子供ってェのはみんなメンコイ顔しとんやねぇ…男も女もわからんに」
【なぁ?】と言って坂田婆が乾闥婆に向って同意を求めた
「…僕は男ですからね」
さっき坂田が言ったことをまだ根に持っているのかにっこりと (怖い)笑顔で乾闥婆か言った
「女将」
若い仲居さんらしき紺色の着物の女性が小走りで坂田婆の元にやってきた
「旦那が呼んでます」
若い仲居さんはそう言って足早に戻っていく
「いいなぁ…着物姿」
南が溜息混じりに言うと京助と中島が頷く
「そいや…爺の顔まだ見てねぇな」
坂田がボソッと言った
「…一緒にこいや。爺は私じゃなくたぶんみっつに用があるんだと思うぞ」
坂田婆が言うと坂田が自分を指差した
「おめぇ等も来るけ?」
坂田婆に聞かれた京助、中島と南の三人が顔を見合わせた
「俺ら?」
そしてそういいながら坂田婆を見る
「どっかいくんだっちゃ?」
ふらふらしながらやってきた緊那羅が聞く
「あんれ!! 外人さんかい!! やーやー…はろーはろー?」
「婆ちゃん…外人みんなに第一声でハローっていうのやめようぜ?;」
過去に何かあったのか坂田が引きつりながら坂田婆の肩を叩いた
「そーそーニーハオかもしれないしアンニョンハセオーかもしれないしねー」
南が笑って言う
「…一応言葉通じるし日本人カッコ仮で」
京助が言った
「まぁどんでもいいんだけどな…ホレ!! いくぞ」
浅黄色の袖で風を切って歩き出した
「…性格おばさんソックリだな」
「まぁな」
中島が坂田に耳打ちすると坂田が遠い目をして言った