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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回 ・四】On泉

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「俺前に宝珠が全て知らせてるってこと聞いたけど」
慧喜が自分の膝で眠っている悠助を撫でながら言った
「宝珠が?」
緊那羅と京助がハモった
「うん…何でも力が大きくなると宝珠の声が聞こえるんだって」
自分の指についている宝珠を見て慧喜が言う
「俺はまだ聞いたことがないんだけどね…制多迦様や矜羯羅様や迦楼羅辺りなら聞こえてるんじゃないのかな」
「宝珠の声…」
緊那羅も自分の腕についている宝珠を見た
「全ての宝珠は元々大きな一つの結晶で…それを宝珠にしてるんだって」
慧喜が言う
「ほー…共鳴ってヤツ?」
京助が子機を耳に当てたまま感心して頷く
「だから俺の宝珠も緊那羅の宝珠も元は一つだったんだよ」
慧喜が言うと緊那羅が自分の宝珠と慧喜の宝珠を交互に見た
「あ、坂田? 俺~」
電話が通じたらしく京助が立ち上がり廊下のほうに歩きながら話し始める
「【天】も【空】も元を辿れば同じなんだっちゃね」
緊那羅が言うと慧喜が頷いた
「緊那羅は…【時】がきても二人共を守るの?」
慧喜が聞く
「【時】が来れば俺はアンタの敵になるけど…けど俺は…もし敵になっても…敵でも悠助は守りたい」
慧喜が悠助の頭を撫でると悠助が少し体を動かした
「俺には悠助が必要なんだ…【時】なんて来ないでくれればいいのに…」
悔しそうに言う慧喜を見て緊那羅も俯いた
「俺は前の【時】の時もいた…今回もああなるのかな…」
「おーっし!! 準備しろよー!」
慧喜の悲しげな言葉が京助の声で止められた
「ほぇ?」
その声で起された悠助に慧喜が無言で抱きついた