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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回 ・四】On泉

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「…露天か?」
坂田が露天に続く戸に手をかけた
坂田が戸越に露天の方を見ても誰かが入っている様子はなく
「…サウナか?」
そう呟いて露天への戸からサウナの戸の方へ歩き戸を開けた坂田が中を見て戸を閉めた
「いねぇ…」
キョロキョロと広い浴場を見渡してもザーっという打たせ湯の音しか聞こえず
「お前誰か入ってきたの気付かなかったのか?」
京助が頭に巻いていたタオルを巻きなおしている迦楼羅に聞いた
「…そんなものイチイチ気付いてられるか」
垂れてきた前髪をグイグイとタオルの中に押し込みながら迦楼羅が言う
「探す?」
慧喜が悠助にべったりくっつきながら言った
「そうだね~……ってえきっちゃんえきっちゃん; ここ男湯;」
何の違和感もなく男湯に入ってきていた慧喜に南が突っ込んだ
「探すって言っても…」
矜羯羅がふぃっと露天の方を見た
「…あっちしかないんじゃない?」
そして露天を指差す
「まぁ…そうなんだけど;」
さっきは覗いただけだった露天への戸に坂田が手をかけた

「ひょー…;浴衣着てても寒みぃッ!;」
少し吹雪き模様になってきていた外に出ると坂田が叫ぶ
「風呂までの距離長すぎじゃねぇ?思ったけど」
中島が続いて出て言う
「寒いから走って滑って転んじゃうよねー」
南も笑いながら言った
「…おい」
京助が前を歩いていた中島の肩を掴んだ
「なんだよ?」
中島が京助を振り返ると先頭を歩いていた坂田も振り向いた
「…足」
「足?」
京助が言うと全員自分の足を見た
「いや…あれ…」
京助が指差した方向を全員が揃って見た
「足…だな」
「足だよね」
「…し…」
「どう見ても足だよね…」
満場一致で京助が指差したもが【足】だと認められた
「…誰の?」
矜羯羅がボソッと言う
「…お前の?」
中島が京助に言う
「いや、しっかりついていますから」
京助が浴衣を巻くり上げ足を見せた
「じゃぁ…もしかして…」
南がゆっくり坂田を見た
「…もしかして…もしかしなくて…坂田爺?」
中島も即席の俳句を言いつつ坂田を見た
「爺ッ!?;」
坂田が【足】目掛けて走り出すと中島と南、京助も駆け出した
「おぉお!!; ビンゴッ!!;」
中島が大声を上げた
「救急車ッ!! 救急車ッ!!;」
南も大声を上げる
「の前に隠すもの隠すものッ!!;」
京助も大声で言う
「爺ッ!! 爺ッ!!;」
坂田が坂田爺を呼ぶが坂田爺はぐったりとしたまま動かない
「落ち着け!! たわけ!!」
迦楼羅が頭に巻いていたタオルを坂田爺の腰の辺りにかけた
「栄野弟…乾闥婆を呼んでこい」
迦楼羅が慧喜にべったりくっつかれている悠助に言う
「けんちゃん? うん!!」
元気よく返事をした悠助が中へと入っていく
「乾闥婆より救急車だろッ!!;」
中島が迦楼羅に言った
「…かじま…乾闥婆は…」
制多迦が中島の肩を叩いて何かを言いかけた
「乾闥婆は医者より役に立つ」
迦楼羅が言うと京助と3馬鹿がきょとんとした顔をした
「…乾闥婆って…医者なのか?」
坂田が迦楼羅(かるら)に聞いた
「正確に言うと【迦楼羅専属の医者】みたいなものだね」
矜羯羅が答えた
「何!? 鳥さんどっか悪いの?!;」
南が迦楼羅を見た
「誰が鳥だ!! 誰がッ!!;」
迦楼羅が怒鳴ると口から小さく炎が出た