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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回 ・四】On泉

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「まだ…って…アレから結構経ってんけど…まだ?;」
中島が浴場を指差して聞くと制多迦(せいたか)が頷いた
「俺らより前に入ってて…まだ?;」
南も聞くと同じく制多迦が頷く
「放っておけば一日中いるんちゃうか?;」
京助が言う
「…勝てる…」
坂田がボソっと呟いた
「勝てる!! 勝てるッ!!」
勢いよく立ち上がった坂田が浴衣のまま浴場に向ってダッシュしていた
「ビバ!! 鳥!!」
南と中島も小躍りしながら坂田に続いて浴場に入っていく
「…僕たちも行く?」
腰に手を当てて矜羯羅が残されていた一同に声を掛けた

「鳥ッ!! いや!迦楼羅君ッ!!」
微妙にエコーのかかった坂田に声が浴場に響いた
「…何事だ;」
檜風呂に浸かっていた迦楼羅がいつもは絶対呼ばれない呼び方をされて多少顔を引きつらせながらも返事をした
「お願いがございますの!!」
浴槽の枠にかけてあった迦楼羅の手をとって坂田が迦楼羅を見た
「…あまり聞きたくないのだが;」
迦楼羅(かるら)が顔を逸らした
「一緒に打たせ湯で修行した仲じゃないッ!」
坂田が迦楼羅の手に頬擦りしながら言う
「やめんかッ!! たわけ!!; 気色悪い!;」
迦楼羅が手を引っ込めながら怒鳴った
「ひどいッ!!」
坂田が両手で顔を覆いながら中島に抱きついた
「…お前が女の子ならココで抱きしめてるんだけどなぁ…」
中島がフッと遠い目をしながら笑った
「で…何の用だ? あまり聞きたくないが…」
溜息をつきながら迦楼羅が聞く
「坂田の爺さんと我慢比べしてほしいんだわ」
南が答えた
「…は?」
迦楼羅が聞き返す
「坂田の爺さんとどっちが長く風呂に入ってられるか我慢比べして欲しいんだとさ」
後から入ってきた京助が話しに入ってきた
「何故ワシがコヤツの爺さんと我慢比べをしなければならないのだ?;」
「お前しか勝てそうなやつがいないから」
迦楼羅が聞くと3馬鹿と京助がハモった
「俺ら上がったばっかだしまだ入ってない乾闥婆がスゲェ拒否してるしで…」
京助が口の端を上げてヘッと笑いながら言う
「…まぁ…当たり前だろうな」
迦楼羅がボソッと言った
「何が」
迦楼羅に京助が聞く
「…いや…何でもない…が…そもそも話しの主旨が見えないからにはなんとも言えん。何故我慢比べなどすることになったのだ?」
迦楼羅が湯から上がり浴槽の枠に腰掛けた
「実はですな…カクカクシカジカなんでございます」
南が言った
「わかるか!! たわけッ!!!;」
迦楼羅が怒鳴る
「漫画ならコレで通じるのにねー不便だよねぇ…」
南がハッハと笑う
「…のさ」
制多迦が手を上げた
「ハイ、タカちゃん」
中島がまた指名する
「…かたの爺さん…見当たらなくない?」
制多迦が言うと全員で浴場の中を見渡した