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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回 ・四】On泉

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「あ、いたいた京助~…なにしてんの?」
手にイチゴ・オレをもった悠助が脱衣場に入って来た
「坂田の人生をかけた闘いに一人でも多くの戦力をキャンペーン中…一口」
京助がそう言いながら手を出すと悠助がイチゴ・オレを手渡した
「けんちゃん嫌がってるよ? 助けてあげないの?」
悠助が京助を見上げる
「どうやって;」
京助がストローを噛んだ
「何の騒ぎさ」
いつもの布ではなくタオルで頭を包んだ矜羯羅が腰に手を当てながら近づいてきた
「タカちゃーんっ」
矜羯羅の後ろにいた制多迦を見つけると悠助が制多迦に抱きついた
「制多迦様ずるいッ!!!」
その瞬間 慧喜が脱衣場に入って来た
「…悠に監視カメラでもつけてるんかよお前は;」
京助がイチゴ・オレのパックをベコベコ膨らませた
「義兄様もッ!! それ悠助飲んでたヤツじゃんッ!!」
慧喜が京助の咥えていたパックを指差しながら怒鳴った
「悠助は俺のッ!!!」
眉を吊り上げて怒鳴る慧喜に京助が溜息をつく
「…で…結局なにもめてるわけ?」
頭のタオルをはずして矜羯羅が3馬鹿にすがりつかれてる乾闥婆を見た
「嫌だったら嫌ですからッ!!! 他当たってくださいッ!!」
乾闥婆は矜羯羅の視線にも気付かないくらい必死で抵抗している
「…んだっぱが大声上げるなんて…よっぽどのことなの?」
制多迦が悠助の頭を撫でながら聞く
「俺の一生にかかわることッ!! オロロ~ン!!」
坂田がわざとらしい泣き真似をする
「君の一生にかかわることなのにどうして乾闥婆が必死なのさ」
矜羯羅が坂田に聞いた
「戦力」
坂田ではなく南と中島がハモって答えた
「戦力?」
矜羯羅が首をかしげる
「我慢比べのな。俺ら上がったばっかりだから負けるの目に見えてるだろ?だからまだ入ってない乾闥婆(けんだっぱ)に助けも止めてる最中」
京助がイチゴ・オレのパックを悠助に手渡した
「あー!! 京助一口って言ったのに全部飲んだー!!」
悠助が頬を膨らませて怒る
「ワリ; 後で買ってやるから;」
京助が苦笑いで謝ると悠助がじとっと京助を見た後パックをゴミ箱に捨てた
「僕は一人ではいるのが好きなんですッ!!」
「そこをなんとかー!!」
一向に進歩のない交渉がかれこれ十数分続いている
「まぁ…仕方ないのかもね乾闥婆にとっては…まだ慣れないんだね」
矜羯羅がボソッというと制多迦が頷いた
「何が」
京助が何気に耳に入った矜羯羅の言葉に突っ込む
「なんでもないよ…それより誰と我慢比べするのさ」
さりげなく矜羯羅が話題を逸らした
「坂田の爺さん」
京助が言う
「…っき大声で入っていった人?」
制多迦が聞くと京助が頷いた
「…のさ」
制多迦がスッと手を上げた
「ハイ、タカちゃん」
中島が指名する
「…るらまだ中にいるけど…迦楼羅なら勝てるんじゃないかな?」
全員が浴場への戸を見た