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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回 ・四】On泉

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「冗談じゃねぇッ!!!」
坂田が突然怒鳴った
「うおぉ!?;」
その声に驚いた京助達が思わず声を上げた
「俺は組も旅館も継ぐ気はねぇッ!!」
坂田が食いかけの温泉饅頭を持ったまま立ち上がった
「坂田!! パンツ見えてる見えてる!!;」
中島が坂田の浴衣の裾を直した
「頑固なところはみのりそっくりだな…だがな!! コレだけは譲れん!! お前はココを継ぐんだ!! なにがなんでも継がせる!!」
坂田爺も負けじと怒鳴る
「継がねぇったら継がねぇッ!! 俺は神社を継ぐ!!」
坂田が怒鳴り返す
「ちょっとまてぇーい!!;」
ソレに対して京助が突っ込む
「なんだ息子 (将来の)」
坂田が京助に言う
「今はボケ禁止!!; 冗談禁止!!;」
京助が立ち上がって坂田に言う
「いや京助ヤツはマジだ」
南が京助の浴衣を引っ張って言った
「安心しろお前も悠もついでに幸せにしてやる!!」
坂田が【ついで】の部分を強調しながら京助の手を握って強く頷いた
「よかったな京助未来のパパでちゅよー」
中島が笑いながら温泉饅頭を食っている
「サァ!! 父と呼んでくれ!! 息子!!」
「呼ぶか阿呆」
坂田が清々しいさわやかな笑顔で京助の肩を叩くと京助も清々しくさわやかな笑顔で坂田の頭を叩いた
「…本題からずれてるような気がするっちゃ…;」
緊那羅がボソッと言う
「そのうち元に戻ると思うからほっといていいと思いますよん?はいこれラムちゃんの分」
南が緊那羅に温泉饅頭を差し出した
「とにかくだ!!! 俺の将来は俺が自分で決めっからなッ!! 漁師になろうとスパイになろうとも仙人になろうとも勝手だろッ!!」
坂田が坂田爺に向って怒鳴る
「イカンッ!! お前はココを継ぐんだ!! 継げ!!」
坂田爺も負けじと入れ歯を少しカコカコさせながら怒鳴る
「嫌だったら嫌だッ!! このクサレ頑固ジジィ!」
坂田が怒鳴ると眼鏡が外れて宙ぶらりんになった
「黙らんか! このへふぁっふぁふぃー!!!」
怒鳴った拍子にとうとう坂田爺の入れ歯が外れて後半が聞き取れなかったがあまりお上品な言葉を言ったわけではないということがなんとなくわかった
「…止めなくていいんだっちゃ?;」
緊那羅が温泉饅頭を手に持ちながら京助を見る
「どうやって止めろと」
湯飲みを少し傾けて中身を飲みながら京助が緊那羅に聞いた
「…えと…;」
緊那羅が温泉饅頭を持ったまま考え込む
「しょうがないなぁ…中島」
南が苦笑いで中島を呼んだ
「アイアイサー」
すると中島が側にあったよく旅館や会館に置いてある安っぽいアルミ製の灰皿2つを手に取った
「第一ラウンドー…終了!!」

カ------------ン!!!!

部屋中に灰皿と灰皿を叩き合わせた音が響き渡ると坂田と坂田爺がフンッと言ってはなれた
「一旦休憩、一旦休憩」
南と中島が坂田と坂田爺にお茶を手渡した
「闘いにはゴングがつき物だ」
京助が言うと緊那羅が感心したように浅く頷いた
「言い合いばっかじゃ解決しないだろ~? 何か他に方法ないの?」
南が坂田の肩を揉みながら言う
「あるなら教えろ」
坂田が坂田爺を睨みながら眼鏡をかけなおした
「ないから聞いてんじゃーん;」
南が肘で坂田の肩のツボを押した
「何かないのかー?早食いでも我慢比べでも」
中島も南同様に坂田爺の肩を揉みながら言う
「フォふぇーふぁふぁふぃふぃふぉふぁふぁふふ!!」
「爺さん入れ歯入れれば?;」
坂田爺が言うと京助が突っ込んだ
「おめーらが口をとっこむなってんだ!…我慢比べ?」
入れ歯を装備した坂田爺がふと何かを考え込んだあと膝をパーンと叩いた
「よし!! 深弦!! 我慢比べだ!!」
「は?」
坂田と南が坂田爺を見た
「風呂で俺と我慢比べだ!!」
坂田爺が自分を親指で指しながら言う
「そっちは何人でもかまわん!! 一人でも俺より長く風呂に入っていることができたらここを継がなくてもいい!! だがな!! もし俺が勝ったら何が何でも継がせるぞ!! 勝負は今日これからだ!!」
坂田爺はそう言うと坂田の意見も聞かずして部屋から出ていた
「…マジかよ…;」
坂田が頭を抱えて溜息を吐いた
「でもいいじゃんー!! 勝ちゃいいんだろ?」
南がそんな坂田の背中を叩いた
「馬ッ鹿!!; 爺はこの辺りでも有名な長風呂なんだ;勝てっこねぇし…ッ;」
坂田がまたも大きな溜息をついた
「…ってか俺らも参戦せにゃあかんわけ?;」
京助が言う
「ワタシを一人にしないで…」
坂田がそういいながら畳の床にうつぶせに伸びた
「私は辞退するっちゃ;」
さっきまでのぼせていた緊那羅が手を上げて辞退宣言をした