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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・参】大菓の改心

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「うわぁあああッ!!!!;」
ガタン! ガシャーー!
三時間目が半ばに差し掛かった頃窓際の席の男子が叫んだ
何事かと思い教室中がその男子生徒に目を向ける
「どうした?西村…おぉおぉおお!!?;」
声を上げた西村という男子生徒を見た教師も声を上げた
「…おい…起きろ京助」
一時間目からぶっ通し眠っている京助を坂田が丸めたノートで一発叩いた
「…んだよ…四時間目終わったのか?」
前髪に微妙な寝癖と頬に赤い跡をつけた京助が突っ伏していた机から身を起した
「お客さん」
丸めたノートで坂田が指す窓の方を目をこすりながら京助が見た
「義兄様」
窓の外でヒラヒラ手を振っている慧喜に京助が手を振り返す
「…で? なんだよ?俺はまだ眠いんだけど」
慧喜に手を振りながら京助があくびをする
「しっかり起きろ」
坂田がもう一発丸めたノートで京助を叩いた
「……慧喜!?;」
しっかり起きたのか京助が慧喜を見て叫んだ
窓にダッシュして開けると冷たい風が教室に流れ込んできた
「何してんだお前はッ!;」
「お届け物」
京助の問いかけに返事するより先に慧喜が何かの包みを差し出した
「何だ何だ?」
坂田が京助の肩にあごを乗せてソレを見る
「なんたら…っていうチョコのお菓子」
慧喜がにっこり笑った
「…お菓子はいいけどお前一人できたのか?;」
京助が包みを受け取りながら慧喜に聞くと慧喜が下を指差した
「…緊那羅;」
下には防寒に対しての完全防備の服装でで上を見上げている緊那羅がいた
「おわ!! ラッムちゃーんじゃーん!!! やほー!!」
浜本が京助を押しのけて緊那羅に手を振った
「こら授業中だぞ」
教師が一応教師という立場からか無駄だとわかっていつつも一応注意する
「ラムちゃんも来てるみたいですが」
本間がシャープペンをクルクル回しながら阿部に言う
「…だからなんなのよ」
不機嫌そうにして阿部が言うと本間がにやっと笑った
「相手は手作りっぽいナァって?」
本間がノートに何やら落書きを書いた
「対抗?」
ちらっと阿部を見ると阿部は頬を膨れさせたまま騒がしい窓際を見ていた
大きな三又鈎を立ててその上にバランスよく乗っかっていた慧喜が飛び降りる
「じゃぁね義兄様!」
京助に向って慧喜がブンブン手を振る
「おー…; …あ! ちょっと待て」
京助が自分の鞄の中から取り出したモノにゴソゴソと何かをしている
「緊那羅!」
そしてソレを緊那羅に向って放り投げた
京助が緊那羅の名前を呼んだことに阿部がピクッと反応すると本間がフッと笑った
「面白…」
ボソッと言った本間を阿部が睨む
「カイロ!あったけぇだろ」
京助が叫ぶと緊那羅(きんなら)が頷いた
「ありがとだっちゃ!」
カイロを握り締め緊那羅が笑顔で言う
「気ィつけて帰れよー!」
「ラムちゃんまったねー!」
坂田と浜本がほぼ同時に二人に向って叫んだ
「…お客が帰ったなら席に着けそこの三人…京助包みは休み時間に開けるようにな。今は駄目だぞ今は」
ハァと溜息をつきつつ教師が言うとチャイムが鳴った
「アレ? 何ラムちゃんと慧喜きてたんだ?」
鳴り終えると同じくらいにガラッと隣のクラスの窓が開いて南が顔を出した
「差し入れもらったから中島引き連れてこい」
坂田がそう言って窓を閉めた