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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・参】大菓の改心

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「あ、ラムちゃん!!」
自動ドアから荷物を持って母ハルミ、慧喜と共にスーパーを出ようとしていた緊那羅を阿部が呼び止めた
「ちょっと…話いいかな?」
緊那羅がきょとんとして母ハルミを振り返ると母ハルミは笑顔で頷き自動ドアが閉まった
「なんだっちゃ?」
買い物袋を持ち替えて緊那羅が阿部に聞く
「あのね…ラムちゃんと京助…って」
もごもごと小さな声で阿部が言う
「私と京助?」
緊那羅が聞き返す
「って…イトコなんだ…よね? それだけ?」
ちらっと緊那羅を見ながら阿部が聞く
「それだけって…何がだっちゃ?」
そして再度 緊那羅(きんなら)が聞き返した
「恋人とか…許婚とか…ないよね?」
俯いたまま阿部が小さく言うと緊那羅は少し考えて口を開いた
「私は京助を守りたいだけだっちゃ」
顔を上げた阿部に緊那羅が笑顔で言った
「…それは好きだから?」
阿部が緊那羅に聞く
「そう…なるのかな」
緊那羅が考えながらいうと阿部が溜息をついた
「そっか…じゃぁ負けない。アタシだって京助守れるってわかったもん」
口元に笑みを浮かべて阿部が緊那羅に向って言った
「え…?;」
意味が深そうな笑顔で言われて緊那羅が少し逃げ腰になる
「絶対負けないんだから」
そう強く笑顔で言うと阿部はスーパーから出て行った
「……?;」
緊那羅がぽかんと買い物袋を下げたまま阿部の背中を目で追った

「諸君!! グッモー!!」
眠そうに白い息を吐きながら大あくびをした坂田の背中を南が叩いた
「元気だねぇ…」
坂田の隣でこれまたあくびをした中島が言う
「お! めっずらしー! 京助がいらっさる!!」
連続であくびをしている京助を南が見つけて言った
「あくびうつすなよ…自分だけので余ってるんだからさぁ…」
京助がそう言ってまたあくびをした
「やたら眠そうだなオイ;」
南が笑いながら京助の顔を覗き込んだ
「あ~…朝っぱらから泡だて器の音で起された」
頭をかきながら京助がまたあくびをする
「泡だて器?」
中島が聞く
「そ~…ウチの女性陣がなんだか張り切っててさぁ…;」
はぁと京助が溜息をつくと坂田がピクっと反応した
「女性陣ってことはハルミさんも入ってるんだよな!?」
そして中島を押しのけ京助に聞く
「母さんどころか緊那羅まではいっちょるわ;」
京助が答えた
「うーわー…」
3馬鹿がそろって言いながら笑った
「京助もってもて?」
中島が言うと京助がどつく
「ハルミさんの手作りかァ…京助…いや京助君!! 仲良くしようじゃないか!」
坂田が京助の手を握って言った
「ひっどーぃみつるん! 私からのチョコは拒否ったくせにぃ!!」
南が小指を立てて言う
「キショいわ!」
体育ジャージの入った袋で坂田が南を殴る
「いたーぃん!!」
南が笑いながら言った
「なんにせよ…ある意味闘いの日だよなァ…男にしても女にしてもバレンタインって…俺…甘い物好きじゃないくせに欲しかったり」
中島が言うと
「わかるわかる」
残りのメンバーが揃って頷いた
「なんでなんだろうねぇ」
南が鼻から息を出した
「バレンタインにもらうチョコって何の変哲のないチョコにしろもらえるかもらえないかで結構アレじゃん?」
中島が言う
「まぁ…なんでだろうなぁ…うん」
【結構アレ】で一応通じたらしい京助が頷く
「そこら辺なんていうか不思議だよなァ?」
坂田が言うとそろって頷く
「イッツア、ヴァレンタインマジック? シャランラ」
南がどこかで聞いたことのある呪文のようなものを唱えつつ一回転する
「コケるぞ」
坂田が言うと中島がこけた
「…身代わり地蔵…」
京助がボソッと言う

「決心はついたのかい」
3馬鹿と京助の後ろを歩いていた本間が隣にいる阿部に声を掛けた
「…まだ」
阿部がむすっとした顔で答えた
「でも宣戦布告はしてきた」
スタスタと歩く速度を速めて阿部が言う
「ふぅん…」
本間が阿部にあわせて速度を上げた
「ラジオ体操のの男の子」
ボソッと本間が言うと阿部がビクッとした後顔を赤くして本間を見た
「…がまさか一緒の中学の同じクラスにいようとはねぇ…」
ニヤっと本間が笑う
「…っ…香奈ッ!;」
阿部の大声で3馬鹿と京助が振り返った
「お? 阿部ちゃんと本間ちゃん? おハロー」
南がヒラヒラ手を振る
「お前最近よく怒鳴るよなァ…元気だなぁ」
京助があくびをしながら言った
「いいじゃない別に…っ;」
マフラーをクイッと引っ張って阿部が顔を隠す
「今は絶対ラジオ体操に間に合わないよね」
本間がボソッと言った
「ラジオ体操?」
中島が本間のソレを聞き取って聞き返す
「な…なんでもないの! 何でもッ!!;」
阿部がバシッと中島の背中を叩いて小走りで校門をくぐった
「うん何でもないから」
そんな阿部に本間もついて校門をくぐっていく
「…乙女の秘密ってぇヤツ?」
坂田が言う
「この時期の女子はようわからん;」
京助がまたあくびをする
「お前あくびしす…ぎ」
突っ込んだ南にも京助のあくびがうつる
「一時間目なんだっけ」
京助が坂田に聞く
「確か数学…ってか何でも寝る気だろうお前」
坂田が答えた
「おうよ」
京助が伸びをした