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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・参】大菓の改心

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「…栄野達だ」
本間が軽く手を振ると阿部も振り返った
信号が青に変わると京助達が小走りで道路を渡って来た
「何してんの?」
南が聞く
「チョコ買いにね」
ミヨコがスーパーの自動ドアをあけながら言う
「チョコ? …あぁ! バレンタインか!!」
坂田が入ってすぐ目の前に設置されているピンクと金で飾られた特設商品棚を見て言った
「…バレ…って何?」
慧喜がきょとんとして呟いた
「…好きな男の子にチョコあげる日」
阿部が慧喜の横を通りながら言った
「好きな…?」
慧喜が悠助を見ると悠助が笑顔を返した
「…ちょっとペチャパイ!」
慧喜が阿部に向かってそう大きな声で言うと客の視線が阿部に集まり当の阿部は顔を赤くしてキッと慧喜を睨んだ
そして大股で慧喜に歩み寄ってきた
「なによッ!」
怒りを最小に押さえつつ阿部が慧喜に言う
「…詳しく教えて」
慧喜が言った

「バレンタインってのはね好きな男の子にこれ…こんな風にハート型とかしたチョコをあげて気持ちを伝えるの」
ふてくされてる阿部の代わりにミヨコが慧喜に説明する
「買っちゃう人も多いけどやっぱり手作りだよねぇ」
阿部の肩に寄りかかりながら本間がしんみりと言った
「手作り…」
慧喜がラッピングされて並んでいるチョコを眺める

「…女子盛り上がってんナァ;」
買い物カゴにモヤシを放り入れながら京助が呟いた
「年に一度のドキドキイベントだしね」
南がハッハと笑う
「俺今年もらえるんだろうか…」
中島がボソッと言うと三人が止まった
「…俺母さんからくらいかなァ…」
坂田がフッと鼻で笑う
「同じく」
京助が言う
「なんなら俺がやろうか? アサクラで」
南が開き直ったように笑顔で言った
「遠慮します」
中島、京助、坂田が同時に顔の前で手を振って拒否の姿勢を示した