【第六回・参】大菓の改心
「きょうぅすけぇ~!!!」
校門を出たところで聞こえた悠助の声
「悠? と…慧喜?」
ぼふっと音をさせて悠助が京助に飛びつく
「義兄様ずるいッ!!!」
そんな悠助を慧喜が京助から引っぺがした
「お? 新顔だね誰々?」
南が慧喜を見て京助に聞く
「慧喜(えき)さんだよ」
悠助が慧喜に抱きしめられながら答えた
「へぇ~…」
坂田が慧喜をまじまじ見る
「…じろじろ見るな」
むすっとして慧喜が坂田に言う
「あれか? 緊那羅の仲間?」
中島が京助に聞いた
「んにゃ何だかコイツは制多迦とか矜羯羅側らしいけどようわからん;」
「ほーぅほうほう」
京助が言うと3馬鹿が揃って数回頷いた
「…で…? さっきコイツお前のこと【義兄様】って呼ばなかったか?」
思い出したように坂田が言う
「呼んだよ? だって京助は悠助の兄弟だから。旦那の兄弟は様つけるんだってヒマ子義姉様言ってたし? ねー? 悠助ッ」
悠助を思い切り抱きしめてすりすりしながら慧喜が言う
「…旦那…って…」
南が無言で悠助を指差しながら京助を見ると京助が頷いた
「慧喜さんはねー僕の子供産んでくれるんだってー」
下校時間真っ最中だった校門前の視線が悠助の一言で一斉に注がれた
「あぁあ; 痛い痛い! 視線が痛い!!!;」
坂田が声を上げて後ろを向いた
「産むって…あの…女の子なわけ?;」
南が慧喜の全身を見ると慧喜が悠助を離し腰に手を当てて身を起した
「失礼なヤツばっかりだな」
手を当てた腰にはきちんとくびれがありそのくびれの上には二つの胸の膨らみがあった
「何気にスタイルよくね?」
中島がボソッと呟くと坂田と南が頷く
「大雪山ってとこですかね」
「うおぉおお!?;」
ひょっこりと現れた本間に3馬鹿と京助が驚く
「ほ…本間;」
胸を押さえて落ち着きを取り戻そうとしている中島が言った
「あの子はいないの? 金髪の変な話し方の細い子」
あくまでマイペースな本間がしれっとして聞く
「緊ちゃんは寒いから家にいるよ?」
悠助が言う
「そうならいいの」
にっこり笑って本間が回れ右をしてスタスタと歩いていった
「…何なんだ?;」
その後姿を見て呟いた京助に3馬鹿がが首をかしげた
「キンナラムちゃんに用事あったみたいだね」
南が言う
「…アイツ俺より胸あった」
慧喜がボソッと言う
「ムカツク」
慧喜が去っていく本間を睨んだ
「…悠助は大きい胸の方好き? 俺嫌い?」
慧喜が聞くと悠助が首をかしげて少し考えた後
「僕は慧喜さん好きだよ?」
そう言って満面の笑みを慧喜に向けた
「悠助…ッ」
慧喜が思い切り悠助を抱きしめる
「…典型的馬鹿ップル」
坂田が言った
「毎朝行ってきますのチューしてたりしてな」
中島が冗談半分で笑って言った
「してる」
京助が頷いて言うと3馬鹿が揃って慧喜と悠助を見た
「…小1なのに妻有かァ…やるな悠助! その兄は二股かけてるってのに! …向日葵とオスに」
坂田が言うと京助が坂田にパンチを入れた
「あ、やっぱり義兄様二股かけてたんだ? じゃぁ緊那羅も義姉様?」
慧喜が納得したように言う
「かけてねぇしかけた覚えもねぇッ!; 勝手に人の経歴汚すなッ!!;」
京助が怒鳴った
作品名:【第六回・参】大菓の改心 作家名:島原あゆむ