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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・参】大菓の改心

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「あ、復活」
昼休み弁当の中の玉子焼きを箸で持ち上げていたミヨコが教室に入って来た阿部を見つけた
「考えはまとまったの?」
タラコが顔を出したおにぎりを片手に本間が聞くと近場の席から椅子を失敬した阿部がソレに腰掛けながら頷いた
「チョコは渡すけど…言わない」
ミヨコが差し出した玉子焼きを食べて阿部が自分の弁当を開いた
「いいの?」
本間が聞く
「チョコは渡すの?」
ミヨコも聞いた
「…今はまだ…もう少し…この関係でいたいような気持ちになってきたの」
パチンと箸箱を開けて阿部が言う
「その間に取られたら?」
本間が食べ終えたおにぎりのアルミ箔をクシャクシャ丸めながら聞いた
「もちろん取り返してやるわよ」
阿部が笑っていった
「それでこそ阿部!」
ミヨコが蓋を開けたばかりの阿部の弁当からから揚げを一つ奪って口に入れた
「好きなものは好きだからしょうがないって何かあったよね」
本間がボソッと言った

バレンタイン当日朝阿部は机の上に置いてある薄いピンクの包みを撫でた後鞄に入れた
「渡すだけ渡すだけなんだからさりげなくさりげなく…よしっ!」
自分に呪文のように言い聞かせ鞄を肩に掛けて部屋を出た

「…もう五時間目ですよ~」
本間がペシペシと阿部の頭を叩いた
「わかってるわよッ!!; …だって…」
そう言って阿部がチラッと目を横にやるとソコには坂田や浜本達と笑いながら話している京助の姿
「京助っていっつも誰かといるんだもん…」
机に突っ伏してはぁあと大きな溜息をついた
「昼休みは昼休みでいつもの面子でご飯食べてたり休み時間は休み時間でああでしょ?」
ぶつぶつ小さく言う阿部の頭を本間がなでた
「確かに…栄野の周りにはいっつも誰かいるんだよね…一人でいるのあんまりみたことないし」
南に抱きつかれている京助をみながら本間が言った
「…なんなら放課後私と一緒にやる?」
本間が自分の机の中から紙袋を取り出した
「…香奈…?」
その紙袋の中には青い包みが一つ入っていた
「私は坂田に用事があるんだけどね。どうせ一緒に帰るんだろうから」
「さか…ッて…香奈…初耳…」
本間の衝撃告白に阿部が驚く
「言ってないもの」
紙袋を机に戻して本間がしれッと言った
「香奈も女だったんだね」
阿部が頷きながら言う
「…少なくとも外見は阿部よか女だよ」
豊満な胸をさりげなく主張させながら本間が言うと阿部がその胸を叩いた
「何々? 何の話?」
ミヨコが阿部に肩に手を置いて話しに入って来た
「彼氏持ちには関係ない話し」
本間が言うと阿部が頷く
「なにさぁ~も~…」
ミヨコが膨れた

「お前等今日ヒマ?」
帰りのHRが終わり廊下で待っていた南と中島に京助が声を掛けた
「何? 何かあんの?」
ポケットに手を突っ込んだまま中島が聞く
「ハルミさんの手作りチョコ食いにいくんだけど来なくてもいいぞ」
坂田がやたら軽い足取りで踊りながら言う
「…やたら作ってんだよ母さん…と慧喜と緊那羅; 面白いらしくて; …で食いに来ないか聞いて来いってさ」
京助が半ば呆れ顔で言った
「ナイス!! いこうぜ!」
南がガッツポーズをした
「くんのかよ…」
坂田が舌打ちをする
「坂田」
「うおおぉお!!;」
いきなり本間に声を掛けられた坂田が声を上げて南に抱きついた
「イヤンみつるんたらこんな公衆の面前でダ・イ・タ・ン」
南が坂田を抱きしめ返す
「…どっかいくの?」
そんな光景に突っ込みも笑いもせずに本間が坂田に聞く
「俺ン家。処理活動に協力してもらおうかと思ってさ」
京助が答えた
「ふぅん…私らも行ってもいい?」
本間が京助に聞いた
「私ら…って阿部もか?」
本間の後ろにいた阿部を見つけて京助が本間に聞いた
「うん駄目?」
阿部をチラっと見た後本間が京助に聞き返した
「いいんじゃない?女子って甘い物好きだし」
中島が言うと本間が中島を見てにっこり笑った
「助言ありがとう。どう? 駄目?」
本間が京助に更に聞く
「いや…俺は別にいけど」
その京助の言葉を聞いた阿部の顔がすこし嬉しそうにほころんだ
「阿部塾とか大丈夫なのか?」
京助に聞かれて阿部が慌てて
「う…うん! 今日7時からだし」
鞄を抱きしめて笑いながら答える
「ならいくか」
玄関の方向に向って歩き出した京助にぞろぞろと続いて歩き出した3馬鹿の後ろを阿部と本間が歩く
「…きっかけは作ったからね」
本間が阿部の尻をペシっと叩いた