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双子魔法使いのお茶会 -翠と碧- + エピローグ

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1.ある日の朝食。



-世界とはかくも平和で。
 かくも幸せで。
 かくも、平凡なものである。-


「もう食べられません」

すくりと席から立ち上がろうとする翠を碧は止める。

「何言っているんだ。まだ野菜が残っているじゃないか。」

翠の皿には綺麗に、色とりどりの野菜が残されていた。
好物と言えば「肉」と真っ先に答え。
嫌いなものはと聞かれれば「土から生えてくる緑とか、赤とか…」と答える翠。
-青臭くてあんなの食べ物じゃない。-

と野菜を栽培している人々に失礼な表現もなんのその、である。

「肉ばっかり食べていると、死ぬよ」
「極端な話するなよー」

苦笑しながら翠は、あきらめずに席を立とうとする。
すると碧は、左手で持っていたフォークで綺麗に光の円を描き、呪文を唱える。

「観念しろ」

碧はにっこり笑って、手首を翠の胸元で、両足も光の円で括りつけて動きを封じる。

「ひきょうものっ!」
「翠が食べないのが悪い…」

じたばたする翠の頭を押さえつけて、残りの野菜を全部口へ放り込む。
「出したらもっと酷い目にあわせるからね」

悪魔の微笑みに、背中に走る冷たいものを感じながら、何度も何度も首を縦に振る。
しっかり飲み込まれるまで碧の鋭い眼光が光る。
死に物狂いで噛み、飲み込む。
それを繰り返して、翠は地獄から開放される。

「ご馳走様は?」

最後の挨拶をしない翠に、又厳しく言葉を飛ばす碧。

「ご…ご馳走様…でした…」

引きつりながら何とか言葉にして、席から立ち上がった。

「み、碧のばかー。碧のトンチンカーン。碧の…碧の。おにー!!」

走りながら、泣きながら、あかんべーをしながら自分の部屋へ戻る。
その姿を呆然と見送る碧。

「頓珍漢、は使い方間違っていると思うんだけど…」

光が綺麗な朝。
鳥のさえずりが静かに響く。
翠と碧の日常はこんな感じで始まる。