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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ちょうすけむじなとじろべえさん

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 じろべえさんはじろべえさんで、あんなことじゃちょうすけは死なないだろうと思っていたから、いつも気をつけて、ちょうすけをかえりうちにしてやろうとみがまえておったとよ。
 じろべえさんがちょっともすきをみせないので、いらいらしたちょうすけは、じろべさんのいえのまえのみちばたにすわりこんでかんがえた。
 浜へ行く道は、これ一本だ。まわりは山で草ぼうぼうのやぶになっている。
「そうだ。あいつをこまらせるいいほうほうをかんがえたぞ」
 ちょうすけは、われながらめいあんだと、しっぽをふりふりねぐらへかえっていったそうな。

 ある日の朝早く、ちょうすけはじろべえさんがりょうにでようとしたとき、まちぶせして大きなほのおにばけてじゃまをしたと。
 浜へ行く一本道。そこをとおせんぼすればじろべえさんはおまんまのくいあげになる。
 もえるものもないのに、ぼうぼうもえているのはおかしいと、じろべえさんはすぐにほのおの正体をみやぶった。
 けど、わざと
「おお、たいへんだ。これじゃあ浜へいかれないな。今日はりょうにでるのはあきらめよう」
といって、さっさかいえにひきかえしたと。
「へっへっへ。ざまあみろ」
 ちょうすけはじろべえさんのうしろすがたをみて、おおわらい。
 ずにのったちょうすけ、次の日もおなじことをしたそうな。
 しょせんはちくしょうのあさぢえ。じろべえさんがだまされているふりをしているとは気がつかない。
 そんなことを三日ほどくりかえしたある日、ほのおのまえでじろべえさんはつぶやいた。
「毎日、ここでただもえているだけじゃもったいない。めざしでもやこう」
 そういって、ふところからめざしを出すと、ほのおの中にぽんと投げ入れた。
 するとほのおはたちまち消えて、ほどよくやけためざしだけがちゅうにうかんで、山の方へ消えていったと。
 めざしに目がくらんだちょうすけは、じろべえさんのことなんかすっかりわすれてしまったというわけだ。
 じろべえさんはおかしくて、くすくすわらったが、じゃまがなくなったので、らくらく浜へいくことができたとよ。
 ねぐらでめざしを食ったちょうすけは、くいおわってはじめて気がついた。
「いけね、あいつがりょうにいけないようにするんだった」

 またしても次の日、ちょうすけはおなじてをつかった。