ちょうすけむじなとじろべえさん
やっぱり、そこはちくしょうのかんがえること。まためざしをくすねることができると思ってな。
ところがこんどはじろべえさん。ふところからクリをひっつかんで、ほのおの中になげいれた。
たちまち、ぱぱーんとクリのからがはじけとんだと。
「うわ、いたたた」
はじけたカラが、ちょうすけのはらだのかおだのにあたって、そりゃあいたいこと。
「あーっはっはっは」
じろべえさんははらをかかえておおわらい。
「ちっきしょう。いまにみてろよ」
ちょうすけはおこって山へにげかえろうとしたと。
「まあ、まてや」
じろべえさんは、ちょうすけをひきとめた。
「こんなことばかりしてたって、しょうがないだろう。魚がほしけりゃ、おらがとってきた魚をおまえにも分けてやる。そのかわり、おまえ、山からうまいもんをとってきてくれないか」
じろべえさんのやさしいことばに、ちょうすけはしょぼんとして、今までのことをあやまったそうな。
それから、ちょうすけは悪さをやめ、山から春にはわらびだのぜんまいだの、秋にはきのこやアケビをとって、じろべえさんのいえに来るようになった。
じろべえさんもやくそくどおり、ちょうすけに魚をくわせてやったと。
そうこうするうちに、村のもんもちょうすけとぶつぶつこうかんするようになって、なかよくなったということだ。
作品名:ちょうすけむじなとじろべえさん 作家名:せき あゆみ