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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ちょうすけむじなとじろべえさん

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「んじゃあ、ゆるしてやろう。でも、そのまえに今までのつみほろぼしに、おらのいうことをきくんだぞ」
 そういって、ちょうすけに大きな魚にばけさせたそうな。
 ちょうすけは、おやすいごようだといって、じろべえさんがもってきたどの魚よりも大きくてりっぱな魚にばけたと。
「おお、こりゃあ、たいしたもんだ」
 じろべえさんにほめられて、ちょうすけはいい気分になったと。
 じろべえさんは町へ行くと、大きなおやしきで魚をぜんぶかってもらったそうな。
 それから、そこの女中さんに、
「すいませんが、このとくべつ大きなのは、食べられない魚ですが、そこの松の木につるしてくれませんか」
といったそうな。
 すると、女中さんはけげんなかおをして、ききかえしたと。
「こんなりっぱな魚を? なんでまた」
「それは、このおやしきがますますさかえるようにという、まじないですよ」
 じろべえさんはでまかせを言って、なわでぐるぐるまきにした魚を松の木につるすと、いきようようと村にかえっていったと。
 さあ、わけもわからずつるされたまんまのちょうすけは、ひとりぽっちにされて、ようやくじろべえさんにだまされたと気がついた。
 でも、がんじがらめにされていたんじゃあ、ぬけだすこともままならないし、もとのすがたにもどることもできやしない。
 ひとばんつるされて、目がまわったまんまねいってしまったちょうすけは、明け方ふっと目をさましてたまげたのなんのって。
 カラスのむれが自分のつるされた木のえだにずらりととまっているじゃないか。
 空にもたくさんのカラスがちょうすけを朝のごちそうにしようとして、ぐるぐるとびまわっている。
「おーい、おいらはムジナだよ。魚じゃないよ」
 ちょうすけはなみだごえでカラスにうったえたと。
 それでもしんようしない、なんわかのカラスがくちばしでちょうすけをつっついた。
「いたた。かんべんしてよ。なわをきってくれたらわかるよ」
 こうしてちょうすけは、魚のまんまおだぶつになることはまぬがれたってわけだ。

 だまされたのがくやしいちょうすけは、なんとかしてじろべえさんにしかえしをしてやろうと心にちかったそうな。
 それで、じろべえさんのいえの近くのやぶにすんで、しかえしのきかいをみていたそうな。