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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ちょうすけむじなとじろべえさん

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 むかし、かずさのくにのうみべの村に、ちょうすけという、しょうわるなムジナがすんでおったそうな。
 その村はいっぽうが海、ほかはぐるりと山にかこまれておるもんだから、町までいくにはどうしても山をこえていかねばならんかった。
 村のりょうしは、つった魚を町まで売りに行き、そのお金で自分のいるものを買ってくるという生活をしておった。
 ちょうすけは、魚が大好きなもんだから、いろんなもんにばけちゃあ、人のいい村のもんをだまくらかして魚をとりあげておったと。
 それも、ただだますだけじゃない。うまのくそのまんじゅうをくわせたり、大きな岩ととすもうをとらせたり、やることがあこぎだったから、村のもんはみな、ちょうすけにはほとほとこまっておったと。

 この村のりょうしのひとり、じろべえさんは、うんがいいのか、今までいちどもちょうすけとでっくわしたことがなかった。
 だから、みんなのためにも、ちょうすけをやっつけてやろうと心の中できめたんじゃと。
 じろべえさんは、今までだまされたもんからはなしをきいて、ちょうすけが一ばんでてきそうなじかんをみはからって、山みちを歩いていったそうな。
 じろべえさんは、てんびんぼうをかたにかつぎ、大きな魚をなんびきもおけにいれて、はなうたまじりにとうげみちを歩いていったと。
 日はとっぷりとくれて、まんまるお月さんがほっこりかおを出したころ、じろべえさんの目の前に、一つ目のおばけがひゅーどろどろととんできたと。
「でたな」
 きもったまのすわったじろべえさんは、魚の入ったおけを道ばたにおくと、てんびんぼうを刀のようにもって、みがまえた。
「その魚、みいんなおいてけー」
 おばけはじろべえさんのまわりをぐるぐるとびまわった。
 じろべえさんはおばけのうごきをじいっとみて、えいやっとてんびんぼうをふりおろしたと。
 ぽかっと音がして、
「あいたたたた。いたいよう」
と、なきごえがしたかと思うと、おばけはたちまちしょうたいをあらわしたそうな。
「こら、おめえがしょうわるムジナだな。おらはおまえをたいじしに来たんだぞ」
 じろべえさんのことばに、ちょうすけはちぢみ上がって、
「ごめんよう。おねがいだ。ころさないでくれよう」
と、ないてあやまったそうな。
 でも、じろべえさんはちょうすけがほんしんであやまっていないことを見ぬいたもんだから、わざと、