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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・弐】感情性長期

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慧喜が声を変えて言った言葉に青い大きな目が慧喜を見たまま動かなくなる
「ぁ…」
カタカタと震えながら乾闥婆はその場に座り込んだ
「…ど? 懐かしいでしょ」
慧喜がにっこりと笑いながら乾闥婆を見下ろす
「ずっと聞きたかったんじゃない?」
慧喜は笑いながらしゃがむと乾闥婆の顎を掴んで上を向かせた
「ねぇ? …【人殺し】」
電線が風で鳴いた

電線が大きく鳴いて大きく振れ雪が舞い上がった
「1対1って言ってなかった?」
片手を押さえて慧喜が上に向かって言う
「早ぇえ…;」
阿部を背中に庇いつつ空を見上げた京助が呟いた
瞬きができたかできなかったかという感じのコンマ何秒かの時間
気付くと暗くなりかけた空に広がっていた黄金の羽根
「慧喜…貴様…いつその声を手に入れた?」
ピリピリとした空気が空一面に広がる
腕の中に震えたままの乾闥婆を抱えた迦楼羅が慧喜を睨むと慧喜がじりっと後ろに下がった
「さすがの迦楼羅も動揺したみたいだね」
慧喜が迦楼羅を見上げて言う
「でも懐かしかったでしょう? 【迦楼羅】」
慧喜がまた声を変え迦楼羅の名前を呼ぶと迦楼羅の羽根が更に大きくなり空気が震えた

「京助…」
阿部が京助の服を掴み身を寄せる
「怖いなら家ン中にいた方いいいぞ」
京助が阿部に言うと阿部は緊那羅の方を見た
今だ悠助を撫でながら歌い続けている緊那羅を見た後阿部はキュっと唇を結んだ
「怖いけどアタシもここにいる」
京助の服を強く握って阿部が言う
「…何で」
阿部の言葉に振り向いた京助が聞いた
「いいじゃない…いたいの!」
阿部が怒鳴った
「アタシだって…役に立ちたい」
聞き取れないくらいの小さな声で言った後阿部は京助を真っ直ぐ見た
「…変なヤツ」
ヘッと笑った後京助は空を見上げると南と京助を抱えて飛んだ大きさになった迦楼羅が慧喜を睨んでいた
その迦楼羅が片手を空に掲げたるとその手を乾闥婆が掴んだ