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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・弐】感情性長期

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意識があるようでないような悠助は京助の背中でまだうつろな目をしたままピクリとも動かない
「一言二言言っただけで…壊れたんだから」
三又鈎を立てて慧喜が微笑んだ
「悠助…」
緊那羅が京助に背負われた悠助に近づいて悠助の髪を撫で上げる
「目…真っ赤だちゃ…」
少し腫れた悠助のまぶたをそっと撫でて緊那羅が呟いた
「帰ったら冷やさないと駄目だっちゃね…悠助」
何を話しかけても何も返事をしない悠助にそれでも緊那羅は話かけ続ける
「ごめんだっちゃ…ごめん…」
悠助の頭に自分の頭を付けて緊那羅が悠助に謝った
「無駄だよ心はもう…」
慧喜がにっこり笑いながら言うと京助が慧喜を睨んだ
「何その目…ムカつくな」
慧喜の目つきが変わった
「俺もお前のことはがっぺんムカつく」
京助が言うと慧喜が京助を睨む
「あまりにもムカつきすぎて方言なまりで言っちゃいますが」
ヘッと京助が口の端をあげた

「京助…悠助降ろして欲しいっちゃ」
緊那羅が京助に言う
「へ? あ…あぁ」
一瞬にして摩訶不思議服になった緊那羅が京助の背中から悠助を抱き上げる
「無駄だと思うけど?」
慧喜が履き捨てるように言った
「いくら宝珠をもらって力がついているとしたってまだまだ完璧な宝珠じゃないんだから」
くすくすと慧喜が笑う
「お前少しだーっとれ」
京助が慧喜に向かって言った
「…悠…悠ごめんな…」
京助がしゃがんで緊那羅の腕に抱かれている悠助に謝った
「自分の心配したら?」
慧喜が三又鈎を持ち直し京助に向ける
「緊那羅には三人いっぺんに守れるような力はまだないと思うし?」
慧喜の足元で気を失っている阿部と京助、悠助で三人
その三人を順番に見て慧喜が笑う
「さぁどうする?」

「こうします」
慧喜の声の後半部分と誰かの声が重なった
「乾闥婆!」
阿部を抱えて乾闥婆がにっこりと(怖い)笑顔を慧喜に向ける
「相変わらず自我が強いようだな慧喜」
風が起きて迦楼羅が空から降りてきた
「…迦楼羅…乾闥婆…」
慧喜の目つきが変わった
「3対1って卑怯だと思うんだけど」
三又鈎を構えて慧喜が迦楼羅を睨む
「ワシが…」
「僕がお相手します。1対1なら文句はないでしょう?」
迦楼羅の言葉を遮って乾闥婆が言った