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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・弐】感情性長期

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その瞬間 緊那羅の耳元で聞こえた悠助の声に緊那羅が一歩後ずさって振り返る
「よくわかったね俺だって」
悠助の声から慧喜自身の声に変えながら慧喜がクスクスと笑った
「阿部さんは関係ないっちゃ」
慧喜に横抱きされて気を失っているらしい阿部を見て緊那羅が慧喜を睨みながら言った
「そうだね関係はない…けど」
「あ」
京助が小さく声を上げた
慧喜が気を失ったままの阿部に口付けてそしてにっこりと笑った
「キス魔…」
ぼそっと京助が呟く
「使えそうだったから」
阿部の声で慧喜が緊那羅に言う
「…悠助はどこだっちゃ」
緊那羅の手にはいつの間にか武器笛が握られていた
「やだな…そんな怖い顔しなくてもいいでしょ?」
慧喜が阿部を地面に寝かせ緊那羅と向き合う
「悠はどこだよッ!」
京助が慧喜に大股で近づきながら言った
「京助!」
緊那羅が京助を呼び止めようと名前を呼ぶ
「うるさいなぁ…そこにいるじゃん」
慧喜クイッと顎で差した所に悠助が蹲っていた
「悠!」
電信柱にもたれかかるようにしている悠助の元に京助が駆け寄るのをみて緊那羅が安堵の息をついた
「おい! 悠! 悠! …栄野悠助君ッ!!」
京助が悠助の名前を呼びながら肩を叩いて体を揺するが悠助は返事をしない
「…悠…?」
顔を覗き込むと赤くなった目がうつろにどこかを見ている
「悠ってばッ!」
京助が悠助の目の前に手をかざし上下に動かすが悠助は返事をしない
「悠助に何したんだっちゃ!」
緊那羅が慧喜に向かって怒鳴った
「何も?」
いつの間に取り出したのか三又鈎をブンっと振って慧喜がしれっとした顔で言った
「ただ俺の特技を披露しただけだよ」
慧喜がにっこり笑って自分の喉を指差した
「こうやって」
慧喜が緊那羅にすばやく近づいて耳元で何かを囁くと緊那羅が真っ赤になった
「な…ッ!」
耳まで赤くなった緊那羅が腕で顔を隠そうとするのを見て慧喜が笑う
「面白いね」
慧喜は京助の声で何かを言ったらしくその名残が言葉に出ていた

「…何言われたんだ?;」
悠助を背中に背負った京助が緊那羅に聞いた
「…っ…;なんでもないっちゃッ!; 危ないからはなれてッ!;」
シッシッと追い払うようなジェスチャーをしながら緊那羅が言う
「本っ当…純だよね緊那羅は」
ふわっと慧喜の頭の布が風に靡いた
「からかいがいがあるというか…」
緊那羅がまだ赤い顔のまま慧喜に目を向けた
「でも…少しは汚れた方強くなれるって知ってる?」
目は笑ったまま笑っていない慧喜の口から出たどことなく悲しそうなその言葉
「言うでしょ? 綺麗なものほど壊れやすい…って」
そう言いながら慧喜が京助に背負われている悠助を見た
「簡単だったよ…すぐに壊れてくれた…ソレだけ綺麗だったんだ」
京助が悠助を見た
「心がね」