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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・弐】感情性長期

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「…慧喜さんは外国人なの?」
悠助の突拍子のない質問に慧喜が目を丸くした
「外国の人ってちゅーが挨拶なんだよね?」
悠助が慧喜を見て笑う
「…違うけど…っていうか…アンタ今の状況わかってる?」
慧喜がにっこり微笑んで言った
「慧喜さんは物まねが上手い?」
「……なんなんだよ;」
首をかしげながら言った悠助の言葉に慧喜が顔を引きつらせる
「あのねぇ…俺は! アンタとアンタの兄さんが邪魔なの」
「? うん」
慧喜が一言一言を区切りながらやたら大きな声で悠助に言う
「だーかーら! いらないの! わかる?」
【だーかーら】の三言葉を言いながら慧喜が同じ回数同じリズムで指で悠助の鼻を押した
「でも僕 慧喜さん邪魔じゃないよ?」
悠助が首を傾げつつ言うと慧喜が頭に手を添えて俯いた
「…アンタ…馬鹿」
ボソッとそういうと慧喜がいきなり顔を上げた
「俺はアンタが邪魔なんだって! アンタが俺をどう思っていようがいいけど! 俺は! アンタが邪魔でいらないのッ!」
慧喜が怒鳴った
「わかる?」
再び笑顔で悠助に聞くと悠助が笑顔で首をかしげた
「……」
慧喜が溜息をついて悠助の顔から目を逸らすとこぶしを作ったまま微かに震えている悠助の両手が目に入った
「…なぁんだ…ちゃんと怖いんじゃない」
慧喜が呟き口の端をあげて笑うと立ち上がった
「怖いときは怖いと思っちゃいけないとか言われたりした?」
悠助の体がピクッと反応した
「大好きなお兄さんに? それともお母さん?」
慧喜の声が聞き覚えのある声に変わっていく
「僕は京助が大好き」
慧喜の声が悠助の声に変わった
「でも京助は僕が要らないの」
慧喜が悠助の声で悠助の耳元で囁いた
「ちが…!」
慧喜を押しのけた反動で悠助が尻餅をついた
「違わないよ? だってこんなに待っているのに京助こないじゃない?」
クスクスと笑いながら慧喜が悠助の声で言う
「来ないのはもう必要ないから」
今度は悠助の声から京助の声に変わっていく
「要らないから来ないんだよ」
「違うもん! 違うもんッ!!」
慧喜が京助の声で言った言葉をかき消そうとするかのように悠助が大声を上げる
「違わない」
今度は緊那羅の声で慧喜が言う
「いや…だぁ…っ」
悠助が耳を押さえて膝を抱えた
「…僕はもう誰にも必要とされていないんだよ」
悠助の声で慧喜が囁き悠助の頭を撫でた
「僕…」
悠助がゆっくり顔を上げながら呟いた
「…もう…いらないの?」
焦点の合わない目のまま小さく言った悠助の耳元で慧喜京助の声で囁いた
「そう…いらないの」
悠助の鼻から鼻水が少し垂れてきた